【CCNP試験対策】練習問題で学ぶCCNP【EIGRP編】Part 3
CCNPの試験で出題されるような問題を見ながら、CCNAに比べて深くなった部分や、CCNAでは触れていなかった部分を解説していきます!
今回もEIGRPに関する問題を出題していこうと思います。
CCNAに合格して、次の資格としてCCNPを学習中の方や、またはこれからCCNPの学習を始めようとしている方の助けになれば幸いです。
問題1
EIGRPが動作しているルータが上記の図のように構成されています。左側のルータで「Router(config-router)#variance 2」というコマンドを設定し、不等コストロードバランシングを有効にすると、どの経路がルーティングテーブルに登録されますか。リンク上のオレンジ色の数値はそのリンクのメトリックを表しています。(全て選択)
- R1を経由する経路
- R2を経由する経路
- R3を経由する経路
- R4を経由する経路
- R5を経由する経路
問題1の解答と解説を表示
解答)B,C
EIGRPの特徴の1つである不等コストロードバランシングの問題です。
EIGRPでは、任意の設定を行うことで、メトリックが異なる経路でもロードバランスを行わせて、ルーティングテーブルに登録することが可能です。
不等コストロードバランシングを設定するコマンドは、「(config-router)#variance <倍率>」です。
コマンドでは、倍率を指定することで、現在のサクセサのフィージブルディスタンスの何倍のメトリックの経路を不等コストロードバランシングに使用するかを設定します。
また、倍率を設定すると無条件でルーティングテーブルに登録されるというわけではなく、フィージブルサクセサに選出される条件を満たした経路の中で、設定した倍率までのメトリックの経路がルーティングテーブルに登録されます。
ですので、不等コストロードバランシングで採用されるかどうかを判断する際には、まず候補の経路がフィージブルサクセサに選出されるかどうかを判断します。フィージブルサクセサに選出されるための条件を満たしている場合、サクセサのフィージブルディスタンスに、指定した倍率をかけた数値までのフィージブルディスタンスを持つ経路が不等コストロードバランシングで使用されるルートとして登録されます。
今回のトポロジーでは下のようになります。
- どの経路がサクセサ、フィージブルサクセサに選出されるかどうかを確認する。
まず、R1~R5までの5台のルータでサクセサを決定するために、それぞれのルータを経由する経路のフィージブルディスタンスとアドバタイズドディスタンスを比較します。
経由するルータ |
フィージブルディスタンス(FD) |
アドバタイズドディスタンス(AD) |
R1 |
55 |
20 |
R2 |
25 |
15 |
R3 |
45 |
20 |
R4 |
45 |
35 |
R5 |
45 |
30 |
上記の表から、R2を経由する経路が最もフィージブルディスタンスの小さい経路であり、サクセサに選出されることが分かります。
次に、それ以外の経路がフィージブルサクセサに選出されるかどうかを確認します。
フィージブルサクセサに選出されるための条件は、「サクセサのFD > フィージブルサクセサ候補のAD」ですので、この条件を満たす経路は、R1を経由する経路とR3を経由する経路の2つになります。
-
サクセサのフィージブルディスタンスに倍率を掛けた数値までのフィージブルサクセサが不等コストロードバランシングでルーティングテーブルに登録されます。
今回は、「(config-router)#variance 2」と設定しているので、サクセサのフィージブルディスタンスの「25」× 2 =「50」までのフィージブルディスタンスを持つ、R3を経由する経路がルーティングテーブルに登録されます。
問題2
EIGRPのルータでアドバタイズするネットワークを手動で集約する際に使用するコマンドとして正しいものは次のうちどれですか。
- (config-router)# ip summary-address [IPアドレス] <サブネットマスク>
- (config-router)#summary-address eigrp [AS番号] [IPアドレス] <サブネットマスク>
- (config-router)#auto-summary
- (config-if)#ip summary-address eigrp [AS番号] [IPアドレス] <サブネットマスク>
- (config-if)#summary-address [IPアドレス] <サブネットマスク> eigrp [AS番号]
問題2の解答と解説を表示
解答)D
EIGRPでは、ルーティングアップデートを行う際に、経路の集約を行うことが可能です。経路集約の方法には、「自動集約」と「手動集約」の2種類があります。
-
自動集約
自動集約を利用することで、ルーティングアップデートを行う際に、IPアドレスのクラスを基にしたサブネットマスクを使用して集約を行うことが出来ます。
自動集約の設定は、「(config-router)#[no] auto-summary」コマンドで行います。コマンドの先頭に[no]がついていると、自動集約をオフに、先頭に何もついていないと、自動集約をオンにすることが出来ます。
また、経路集約を行った際に、実際には存在しない経路宛の通信もルータに転送されてくることになるため、ルータへの負荷が高くなってしまいます。それを回避するために「Nullインターフェースをネクストホップにした、NULLルート」というエントリが追加され、実際には存在しない経路宛の通信を受け取った際に、その通信を破棄します。
また、「不連続サブネット」と呼ばれる構成を使用する場合には、必ず、自動集約の機能をオフにして利用します。
-
手動集約
手動集約は、ルーティングアップデートの際に伝える情報を管理者が設定する集約方法です。
必要な設定の数は増えますが、その分、集約を行う際の設定を詳細に指定することが出来るというメリットがあります。
自動集約では、クラスに応じたサブネットマスクで集約されるというものでしたが、手動集約では、どのネットワークアドレス、どんなサブネットマスクを使用するかということを細かく指定することが出来ます。
設定コマンドは「(config-if)#ip summary-address eigrp [AS番号] [IPアドレス] <サブネットマスク> 」です。
問題3
EIGRPでのスタブの特徴として正しいものは次のうちどれですか。
- 経路を通知しなくなる。
- Queryパケットが到達する範囲を拡張する。
- 全てのルータで設定を行う。
- SIAを防ぐことが出来る。
問題3の解答と解説を表示
解答)D
EIGRPでは、サクセサがダウンすると、フィージブルサクセサに経路を切り替えようとします。また、フィージブルサクセサが選出されていない場合には、ネイバールータにQueryパケットを送信して経路の問い合わせを行います。
このとき、トポロジーによっては、Queryパケットに対するReplyパケット返すことが出来ず、Active状態のままになってしまい、通信が出来ない状態(SIA)になってしまうことがあります。
その対策の1つとして、「スタブ」の設定を行います。ネットワークの端にあるルータ(スポーク側のルータ)では、通信の転送を行う際に常に1方向のルータにのみ転送すればいいような状態になることがあります。その時に、スタブの設定を行うことによって、ネイバーのルータは、端のルータに対してQueryパケットを送信しなくなり、直接接続している経路と集約した経路のみを伝えるようになります。これによって、Queryパケットが送信され続ける状態(SIA)を防ぐことができ、スポーク側のルータのルーティングテーブルのサイズを小さくしたり、ネットワークの安定化が可能になります。
スタブの設定は、端のネットワークのルータ(スポーク側のルータ)のみで行えばよい設定です。
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