【CCNP試験対策】練習問題で学ぶCCNP【OSPF編】Part 1
今回から、「練習問題で学ぶCCNP」というタイトルでいろいろと書いていこうと思います!
この記事では、CCNPの試験で出題されるような問題を見ながら、CCNAに比べて深くなった部分や、CCNAでは触れていなかった部分を解説していく予定です!
CCNAに合格して、次の資格としてCCNPを学習中の方や、またはこれからCCNPの学習を始めようとしている方の助けになれば幸いです。
問題1
マルチエリアOSPFにおいて、ABRが生成する情報が簡素化されたLSAのタイプは次のうちどれですか。
- タイプ1
- タイプ2
- タイプ3
- タイプ5
- タイプ7
問題1の解答と解説を表示
解答)C
マルチエリアOSPFでは、ルータ同士でLSAの交換を行う際に、様々なタイプのLSAを使い分けることによって効率よく情報交換を行っています。具体的には、同じエリアに所属するルータ同士では、そのエリア内で全てのLSAを収集し、他のエリアに所属するルータや他のルーティングプロトコルが動作するルータの情報は、簡素化されたLSAを収集するといった仕組みになっています。それぞれの状況で収集されるLSAはタイプが決められており、Ciscoルータで使用されるLSAのタイプは「1~5,7」の6種類とされています。それぞれの違いを簡潔にまとめると下のようになります。
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LSAタイプ1
各ルータがエリア内のネイバーに対して送信するLSAです。各リンクの状態やコストや数、ルータIDに関する情報が入っています。
エリアを超えて他のルータに伝わることはありません。このLSAで学習した内容はルーティングテーブル上では「O(オー)」で表示されます。
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LSAタイプ2
代表ルータによって生成されるLSAです。DRのIPやセグメント上のルータIDの情報がエリア内のルータに対して送信されます。
このLSAもエリアを超えて他のルータに伝わることはありません。
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LSAタイプ3
ABRによって生成されるLSAです。エリアごとの経路情報、コスト情報が送信されます。集約が行われる場合もこのLSAが使用されます。サマリーリンクと言われますが、経路集約が行われているわけではなく、タイプ1、2のLSAに比べて情報が簡素化されているということです。このLSAで学習した内容はルーティングテーブル上では「O IA」と表示されます。
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LSAタイプ4
ABRによって生成されるLSAです。ASBRの情報(ルータID、コストの情報)を送信します
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LSAタイプ5
ASBRによって生成されるLSAです。再配布された経路情報、コスト情報、ネクストホップの情報が入っています。このLSAで学習した内容は「O E1」もしくは[O E2」と表示されます。このLSAはAS内にフラッディングされます。
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LSAタイプ7
NSSA内でのみ送信されるLSAです。再配布された経路情報、コスト情報、ネクストホップの情報が入っています。このLSAで学習した内容は「O N1」もしくは[O N2」と表示されます。
問題2
どのOSPFエリアがデフォルトで集約ルートを送信しますか?2つ選択して下さい。
- NSSA
- バックボーン
- トータリ―スタブ
- スタブ
- 通常
問題2の解答と解説を表示
解答)C,D
問題1でも出てきていましたが、OSPFでは各ルータが所属するエリアを分けることによって、ルータが収集するLSAの情報を少なくすることによって、ルータの消費メモリを抑えたり、経路の計算を少なくすることが出来たりといったメリットがあります。LSAにも様々な種類があったように、エリアにもいくつかの種類があります。エリアの種類と特徴をまとめると下のようになります。
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バックボーンエリア
複数のエリアを相互接続するエリアです。このエリアは必ず存在していなければなりません。複数のエリアが存在する場合は必ずこのエリアと隣接しなければならず、エリア間のトラフィックはバックボーンエリアを通過する形となります。タイプ1から5までのLSAが流れます。エリア番号は「0」となります。
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標準エリア
バックボーンエリア以外のOSPFのエリアです。タイプ1から5までのLSAがこのエリア内では流れます。
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スタブエリア
外部リンクLSA(タイプ5)を受け取らないエリアです。タイプ5のLSAは境界のABRがデフォルトルートに置き換えて伝えられます。
外部リンクLSAを受け取らないことでエリア内のトラフィックを少なくすることができます。また、スタブエリア内のルータは全てスタブエリアの設定をする必要があります。タイプ1から3までのLSAがこのエリアでは流れます。
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完全スタブエリア(トータリースタブエリア)
外部リンクLSAだけではなくタイプ3とタイプ4のLSAも受け取らないエリアです。これらのタイプのLSAはABRによってデフォルト
ルートに置き換えられ、デフォルトルートがタイプ3で流されます。それによりルーティングテーブルの情報を最小限にして内部ルータにかかる負荷を減らすことができます。タイプ1と2、デフォルトルートのタイプ3がこのエリアを流れます。
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NSSA
スタブエリアにASBRが存在できるエリアです。上に述べたようにスタブエリアではタイプ5のLSAは存在できないためASBRはタイプ7のLSAを使用して外部ASの情報を送信します。この情報はABRによってタイプ5に変えられてバックボーンエリアでは配布されます。タイプ1からタイプ3までとタイプ7がこのエリアで流れます。
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完全NSSA(トータリーNSSA)
完全スタブエリアにASBRが存在できるエリアです。このエリアではルーティングテーブルの情報を最小限にするために、
タイプ3のLSAもデフォルトルートに置き換えます。
タイプ1と2、デフォルトルートのタイプ3までとタイプ7がこのエリアで流れます。
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