【CCNA試験対策】ネットワークの基礎から学んでいこう!【IPv6解説編】Part 4
CCNAの勉強をしている方に向けて、今回もIPv6解説編です!
今回は、CiscoルータでのIPv6を利用したルーティングの設定についてです。
ICND2の試験では、IPv4を利用したOSPFやEIGRPだけでなく、IPv6のバージョンも出題されるようになっています。
さらに、最近の試験の出題傾向的に、設定コマンドなどのより細かい知識が必要になってきているようです。
今回でIPv6についての解説は一段落ですので、最後までお付き合いください!
【目次】
スタティックルーティングの設定
まずは、スタティックルーティングの設定から紹介していきます。
スタティックルーティングの説明を簡単にしておくと、「スタティック(固定)」という言葉の通り、管理者が宛先ネットワークへの転送経路(ネクストホップ)を決めて、ルータは常にそこに転送するというルーティングの設定になります。
※IPv6でのルーティングを有効にするためには、まず(config)#ipv6 unicast-routingというコマンドを使い、IPv6パケットの転送を有効にする必要があります。
IPv6でも設定する内容はほとんど変わりません。設定コマンドは下記の通りです。
(config)#ipv6 route 宛先ネットワーク/プレフィックス ネクストホップ(送出インターフェース) (AD値)
ネクストホップの指定をする際には、リンクローカルアドレスを設定することが推奨されます!
設定の確認をする際には、#show ipv6 routeコマンドを使用します。
〔実際のルータでの設定例〕
ダイナミックルーティング
次に、ダイナミックルーティングの設定を紹介していきます。
ダイナミックルーティングの説明を簡単にしておくと、ダイナミックルーティングは、ルーティングプロトコルを利用してルータが自動でルーティングテーブルの作成を行う仕組みです。
こちらもスタティックルーティングの時と同じように設定の前に(config)#ipv6 unicast-routingというコマンドでIPv6パケットの転送を有効化する必要があります。
ルーティングプロトコルの中でも「RIP」「OSPF」「EIGRP」の3つについて紹介していきます。
RIPngの設定
IPv4では、RIPv1とRIPv2の2つのバージョンがあります。IPv6に対応したRIPは、「RIPng(nextgeneration)」という名前になっており、RIPv2をベースに作られています。
設定に必要なコマンドは2つです。
-
(config)#ipv6 router rip タグ(プロセスIDみたいなもの)
-
(config-if)#ipv6 rip タグ enable
ここでのタグは、前のコマンドで指定した名前と同じにします。
OSPFv3の設定
IPv4でのOSPFは「OSPFver2」と呼ばれています。IPv6でのOSPFは「OSPFver3」です。
OSPFver2とOSPFver3の設定の一番大きな違いは、ルータIDの設定です。OSPFver2では、OSPFのプロセスの設定をすると、①コマンドでの設定、②ループバックインターフェースのIPv4アドレス、③インターフェースのIPv4アドレスの順に自動で設定していました。これは、ルータIDが32ビットの数値を利用するため、設定されているIPv4アドレスをそのまま利用できるからです。
IPv6アドレスは128ビットですので、そのままではルータIDとビット数が合いません。そこで、OSPFver3ではルータIDを手動で設定する必要があります。(インターフェースにIPv4アドレスが同時に設定されているときはそちらを利用できます。)
また、RIPngと同じように、networkコマンドではなく、インターフェースでの設定のみになっています。
ですので、設定に必要なコマンドは次の3つになります。
-
(config)#ipv6 router ospf プロセスID
このコマンドを使用して、OSPFv3のプロセスを起動します。ルータIDはOSPFv2と同じで、ルータ同士で揃える必要はありません。このコマンドを打った時にIPv4アドレスが設定されていなければ、ルータIDを設定するようにメッセージが表示されますので、次に、ルータIDを設定しましょう。 -
(config-rtr)#router-id ルータID
ルータIDの設定をするコマンドはOSPFv2と変わりません。ルータIDはIPアドレスと同じ形式で設定します。 -
(config-if)#ipv6 ospf プロセスID area エリア番号
プロセスの起動、ルータIDの設定が出来たら動作させるインターフェースで上のコマンドを使用します。エリア番号についてはOSPFv2と同じです。ネイバーとなるルータと揃えるようにしましょう。
EIGRP for IPv6の設定
EIGRPは名前が非常に分かりやすいですね!たまにEIGRPv6みたいな書き方も出てきますが。
IPv4と違う点は、OSPFの時と同じようにルータIDを手動で設定しなければならない点、networkコマンドではなくインターフェースで設定をする点、そしてシャットダウン機能がある点の3つかなと思います。
設定に必要なコマンドは次の4つです。
-
(config)#ipv6 router eigrp AS番号
このコマンドでEIGRP for IPv6のプロセスを起動します。AS番号はネイバー関係となるルータと揃えなければならないので注意しましょう!このコマンドを打った時にインターフェースにIPv4アドレスが設定されていない場合は、OSPFv3の時と同じようにルータIDの設定をするようにメッセージが表示されます。 -
(config-rtr)#router-id ルータID
ルータIDの設定を行います。形式はOSPFの時と同じです。 -
(config-rtr)#no shutdown
EIGRP for IPv6にはシャットダウン機能が追加されています。プロセスを起動しただけの状態では、shutdownの状態になっているので、no shutdownコマンドを入力して有効にする必要があります。 -
(config-if)#ipv6 eigrp AS番号
インターフェースでEIGRPを有効にするコマンドを入力します。
まとめ
今回の記事では、IPv6を利用したルーティングの設定を書いてきました。
今回のポイントをまとめました。
-
IPv6でのルーティングはスタティックルーティング、ダイナミックルーティング(RIPng,OSPFver3,EIGRP for IPv6)のような種類がある!
IPv6でのルーティングテーブルの確認コマンドは
#show ipv6 route -
スタティックルーティングの設定はIPv4とほぼ同じ!
(config)#ipv6 route 宛先ネットワーク/プレフィックス ネクストホップ(送出インターフェース) (AD値)
ネクストホップはリンクローカルを使うことが推奨! - ダイナミックルーティングでは、IPv4の時と違って、networkコマンドでの設定は行わない!
- RIPngの設定コマンド
(config)#ipv6 router rip タグ
(config-if)#ipv6 rip タグ enable - OSPFver3ではルータIDを手動で設定する!
OSPFver3の設定コマンド
(config)#ipv6 router ospf プロセスID
(config-rtr)#router-id ルータID
(config-if)#ipv6 ospf プロセスID area エリア番号 - EIGRP for IPv6もルータIDを手動で設定する!シャットダウン機能が追加されている!
EIGRP for IPv6の設定コマンド
(config)#ipv6 router eigrp AS番号
(config-rtr)#router-id ルータID
(config-rtr)#no shutdown
(config-if)#ipv6 eigrp AS番号
- RIPngの設定コマンド
CCNAの試験ではこのコマンドが出題されることもあるので、設定の仕方もしっかりと押さえておきたいですね!
今回でIPv6解説シリーズは一旦、終わりになります。また何かテーマを思いついたら書くと思いますが。
CCNAやネットワーク学習の手助けにしていただけると幸いです。
↓ IPv6関連のCCNA試験対策問題も作成しているのでそちらもぜひチェックしてみてください!
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