LinuxServer 電子メールについてもう一度… メールサーバ(MTA)
前回まででメール送信の仕組みとSMTPコマンドについて説明してきました。
これからLinuxServer上でメールサーバ(MTA)を構築していきましょう。
構築をする前にLinuxServer上で使用できる3大MTAについて特徴を確認していきましょう。
Sendmail --業界標準--
Sendmailは1980年代に登場し、事実上の標準MTAとして多くの
使用実績があります。
Sendmailは多くの機能が盛り込まれており、正しく設定すれば柔軟で
高度なメール配送を行うことが出来ます。
しかし、柔軟で高度な配送を行う為の設定ファイルが複雑かつ難解になり、
管理を難しくしています。
さらに機能の豊富さから、プログラムの肥大化、複雑化を呼び、
多くのセキュリティホールが見つかり、開発時には考えられなかった
問題も発生しています。
qmail --よりセキュアに--
qmailはSendmailの問題点からシンプルで堅牢な、よりよいMTAを目指し、
D.J.バーンスタイン氏が開発したMTAです
Sendmailでは一つのプログラムが全ての機能を実行しており、大量のメールを
扱う時に処理が遅くなる問題を抱えていましたが、qmailでは機能毎に
プログラムと設定ファイルを分割した上で、プログラムは各々が独立、
強調して動作します。
各々のプログラムには、最低限の権限のみ与え、プログラム間の通信も
セキュアになっており、プログラムの設定ファイルはシンプルです。
また、Sendmailでは、全てのメッセージが一ユーザにつき、一ファイルで
保存する形式(mbox形式)を採用していましたが、mbox形式では
メッセージの処理に問題があると、全てのメッセージに影響する可能性が
ありました。
この問題を回避するため、qmailではメッセージ一通につき、
一ファイルで保存する形式(Maildir形式)を作用しています。
qmail独自の設計は、セキュリティを強固なものにしましたが、開発者の
ポリシーと厳しいライセンス制限の為、Sendmailからの移行は大変難しくなりました。
Postfix --高い互換性--
PostfixはSendmailやqmailに比べ、後発で新しいMTAです。
Sendmailとの互換性を保ち、設定を簡単にし、qmailのMaildir形式を
採用する等、Sendmailとqmailの良い点を参考に、開発されました。
qmailと同様に機能毎にプログラムを分割し、強調して動作するようになっています。
また、プログラムには最低限の権限のみ与え、一つのプログラムに
問題が発生してもシステム全体に影響はしません。
Postfixは比較的緩やかなライセンス形態の為、標準のMTAとして採用している
Linuxディストリビューションも有り、利用実績を増えてきています。
Postfixでメールサーバを構築してみよう
Sendmail、qmail、Postfix、それぞれに長所と短所があり、
どれが一番優れているかは決められませんが、メールサーバの構築には
入手が容易で設定が簡単なPostfixを使用し、メールサーバを
構築してみましょう。