【CCNP解説_OSPF編 19】マルチエリアOSPFのエリアの種類①(バックボーンエリア・標準エリア)
マルチエリアOSPFのエリアの種類①(バックボーンエリア・標準エリア)
これまで見てきたように、OSPFにはネットワークにかかる負荷を減らすために役割が異なる複数の種類のエリアがあり、
エリアによって内部で存在できるLSA のタイプが変わります。
Ciscoルータで使用可能なOSPFのエリアは以下の6つとなります。
・バックボーンエリア
・標準エリア
・スタブエリア
・トータリースタブエリア(完全スタブエリア)
・NSSA(Not-So-Stubby Area)
・トータリーNSSA(完全NSSA)
マルチエリアOSPFにする際、バックボーンエリアは必ず作成する必要があり、構成によってその他のエリアを標準エリア、
スタブエリア、トータリースタブエリア、NSSA、トータリーNSSAに設定可能です。
なお、バックボーンエリアを必ず作成しないといけないというルールから、シングルエリア構成ではバックボーンエリアのみで構成します。
最も基本となるのは標準エリアで、それ以外のエリアに設定することでさらにLSA のやり取りやLSDBのサイズを小さくすることができます。
また、ルーティングテーブルのサイズを小さくすることにもつながるため、ルータの負荷を抑えることができるというメリットもあります。
今回はバックボーンエリアと標準エリアの特徴を見ていきましょう。
バックボーンエリア
OSPFネットワークの中心となるエリアがバックボーンエリアです。エリア番号は必ず0となり、
他のエリアの経路情報はバックボーンエリアを介して行われます。
バックボーンエリア内ではLSA Type1、2、3、4、5が流れます。
標準エリア
バックボーンエリア以外の通常のエリアが標準エリアとなります。
標準エリア内ではバックボーンエリアと同様にLSA Type1、2、3、4、5が流れます。
以下の図はバックボーンエリアと標準エリアのみで構成された基本的なマルチエリアOSPF構成です。
バックボーンエリアには192.168.1.0/24と192.168.2.0/24のネットワークが、標準エリアには192.168.3.0/24、192.168.4.0/24
のネットワークが存在しています。
また、OSPFドメイン外には10.10.0.0/24と10.20.0.0/24 の2つのネットワークが存在し、ASBRに再配送の設定がされていて
外部ルートの情報がメトリックタイプ2でOSPFドメイン内に取り込まれているとします。
バックボーンエリア内の各ルータの詳細な情報はLSA Type1で共有され、ABRを経由することで標準エリア内へ
要約されたネットワーク情報としてLSA Type3で通知されます。
ASBRによって再配送された外部ネットワークの情報はLSA Type5でバックボーンエリア内に通知され、
ABRを経てLSA Type5で同じく標準エリア内へ伝わっていきます。
Router3は192.168.3.0/24の情報は同一エリア内のLSA Type1で受信しているため、
ルーティングテーブル上では「O」のフラグで登録されます。
また、192.168.1.0/24 と192.168.2.0/24 の情報はLSA Type3で受信しているため「O IA」、
10.10.0.0/24と10.20.0.0/24 の情報はLSA Type5で受信しているため「O E2」のフラグで登録されます。
このように、標準エリア内のルータではエリア間のルート情報であるinter-areaルートと、
外部ルート情報であるexternalルートの両方が集約されることなく全てルーティングテーブルに登録されます。
今回のまとめ
今回は様々なエリアのうち、最も基本となるバックボーンエリアと標準エリアについて見てきました。
この2つのエリアの共通の特徴として、intra-areaルート、inter-areaルート、externalルートのすべてのルートが
集約されずにルーティングテーブルに一つずつ正確に登録されるという点です。
次回以降に説明するスタブエリアなどの他のエリアと比較して覚えるようにしていきましょう。
■今回のポイント
・バックボーンエリアも標準エリアもLSA Type1、2、3、4、5が流れる
・バックボーンエリアも標準エリアもintra-areaルート、inter-areaルート、externalルートのすべてのルートが
集約されずにルーティングテーブルに一つずつ正確に登録される
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