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【CCNP解説_OSPF編 18】LSAの違いによる経路の取り扱い
2022.01.12
Lv2

【CCNP解説_OSPF編 18】LSAの違いによる経路の取り扱い

LSAの違いによる経路の取り扱い


OSPFではシングルエリア構成の場合ではLSA Type1とType2しか使用されませんが、
マルチエリア構成にするとType1やType2以外にもType3、4、5、7といった様々LSAが使用されます。
これらのLSAのタイプにより、通知される情報が異なるのは今まで見てきた通りでした。

また、OSPFではルート情報をエリア内の情報なのか、他のエリア(エリア間)の情報なのか、
OSPFドメイン外の外部ネットワークの情報なのかを区別するようになっています。
このように大きく3つに分けられており、それぞれintra-areaルートinter-areaルートexternal ルートという名称で呼ばれています。

それぞれについて見ていきましょう。


intra-areaルート

同一エリア内でやり取りされるルートの情報がintra-areaルートです。
最も基本となる分かりやすいLSAですね。
同一エリア内のルート情報は、LSA Type1とType2で通知される情報から計算されるものとなります。

また、これらのLSAで学習した経路情報は、ルーティングテーブル上で「O」と表示されます


inter-areaルート

エリア間で相互にやり取りされるルートの情報がinter-areaルートです。
エリア間のルート情報は、LSA Type3で通知される情報から計算されます。

このLSA Type3で学習した経路情報は、ルーティングテーブル上で「O IA」と表示されます。


externalルート

OSPFドメイン外の再配送された外部ルート情報がexternal ルートです。
externalルートはさらに4つに分類されます。

まず、externalルートは、設定されているエリアの種類によりType5とType7のどちらかのLSAで通知される情報から計算されます。

さらに、externalルートはType1とType2というメトリックタイプに区別されます。
つまりLSA Type5のメトリックタイプ1と2LSA Type7のメトリックタイプ1と2というように、計4つに分類されることになります。

それぞれのLSAで学習した経路情報は、ルーティングテーブル上でType5のLSAでメトリックタイプ1であれば「O E1」、
メトリックタイプが2であれば「O E2
となります。

同様にType7のLSAでメトリックタイプが1であれば「O N1」、メトリックタイプが2であれば「O N2と表示されます。


メトリックタイプ

externalルートのメトリックタイプの1と2では、外部ルートに対するメトリックの計算方法が異なります

OSPFドメイン外のルートがASBRによってType5のLSAでOSPFドメイン内に送信される際、そのネットワークはデフォルトでコストの値が20
メトリックタイプ2で再配送されます

メトリックタイプ1の場合は、以下の図のようにOSPFドメイン内のルータを経由するたびに、再配送時に設定された基準のコストに
各インターフェイスのコストを加算
していきます。

上図のように、外部にあるネットワークXのメトリックは、ASBR から送信されたType5のLSAでは20ですが、
各ルータはインターフェイスのコストを加算するためRouter1では21、Router2 では22となります。

それに対してメトリックタイプ2の場合はメトリックを加算しません
メトリックタイプ2の場合、以下の図のようにどれだけASBR から離れていても、
コストは再配送時に設定された基準のコストの値のまま一定になります。


LSAの優先順位

このように、マルチエリアOSPFでは様々なルートの種類が存在しますが、それらのルートには優先順位があります。
同一のネットワーク情報をそれぞれ異なるタイプのLSAで学習した場合、どのLSAで取得した情報を
ルーティングテーブルに登録するかの優先順位は、次のようになっています。

 1. intra-areaルート(「O」のルート)
 2. inter-areaルート(「O IA」のルート)
 3. externalルートtype1(「O E1」または「O N1」のルート)
 4. externalルートtype2(「O E2」または「O N2」のルート)

数字が小さいルート、つまり上にあるルートの方が優先されます。


今回のまとめ

今回はマルチエリアOSPF時のルートの種類について見てきました。マルチエリア時にはルートの種類は大きく3つに分類され、
それぞれintra-areaルートinter-areaルートexternalルートという名称で区別されます。
これらのルートの種類によってルーティングテーブル上で表示されるフラグも異なります。

intra-areaルートは「O」、inter-areaルートは「O IA」、externalルートはLSA Type5の場合は「O E」に、LSA Type7の場合は「O N
となります。
また、externalルートの場合はさらにメトリックタイプというものが存在し、タイプ1とタイプ2があります。
そのためルーティングテーブルではその数字をくっつけて、「O E1」、「O E2」、「O N1」、「O N2」という4つのフラグ
に分けられます。ルーティングテーブル上のこのフラグを見ることで、同一エリア内のルートなのか、異なるエリアへのルートなのか、
はたまた再配送されて学習したOSPFドメイン外のルートなのかを一目で区別することができます。

ルーティングテーブルを見る上で非常に重要な情報となるためしっかりと覚えておきましょう。


 ■今回のポイント

 ・intra-area…エリア内のルート。ルーティングテーブル上では「O」で表示される
 ・inter-area エリア間のルート。ルーティングテーブル上では「O IA」で表示される
 ・external…OSPF ドメイン外の再配送されたルート。ルーティングテーブル上ではLSAタイプや
       メトリックタイプに応じて「O E1」「O E2」「O N1」「ON2」で表示される


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