【CCNP解説_OSPF編 17】LSAのタイプ②
LSAのタイプ②
前回はLSAのType1からType3までについて説明しました。
今回は残りのType4、Type5、Type7について見ていきましょう。
LSAの各タイプの特徴
OSPFで使用される6種類のLSAについておさらいしておきましょう。
• ルータLSA(LSA Type1)
• ネットワークLSA(LSA Type2)
• サマリーLSA(LSA Type3)
• ASBR サマリーLSA(LSA Type4)
• AS 外部LSA(LSA Type5)
• NSSA外部LSA(LSA Type7)
今回はLSAのType4~7までの役割と特徴を見ていきます。
ASBRサマリーLSA(LSA Type4)
ASBRサマリーLSA(LSA Type4)はABRとなっているルータが生成し、他のエリアにASBRの情報を伝える際に使用されるLSAです。
このLSA 内にはASBRのルータIDやコストなどの情報が含まれています。
以下の図の場合、エリア0に存在するASBRの情報をRouter4に伝えるためにABRによって使用されます。
LSA Type1には自身がASBR かどうかを示す情報が含まれているため、それを受け取ったABRが
LSA Type4を使用して他のエリアへと通知します。
エリア0のルータは、同一エリア内にASBRが存在しているためLSA Type1でASBRの情報がわかるので、LSA Type4 は必要ありません。
また、ASBR が存在していなければ、LSA Type4は生成されることはありません。
AS外部LSA(LSA Type5)
AS外部LSA(LSA Type5)はASBRとなっているルータが生成し、OSPFドメイン外の経路情報をOSPFドメイン内に
伝える際に使用されるLSAです。
このLSA内には外部ネットワークのネットワークアドレス、サブネットマスクの情報、メトリックなどが含まれます。
OSPFドメインというのは、同一の運用方法で動作させているOSPFルータで構成されているネットワークです。
OSPFドメイン外の経路情報とは、OSPF以外のルーティングプロトコルやスタティックルートなどで登録された
ネットワークの情報を指します。
このように、あるルーティングプロトコルで得たルート情報を別のルーティングプロトコルに変換して流すことを再配送といいます。
LSA Type5は一部のエリアを除いてOSPFネットワーク内の全エリアへ送信されます。
以下の図の場合、ASBRに再配送の設定をすることで他のプロトコルの経路情報をOSPFドメイン内に取り込むことができ、
LSA Type5でOSPF内へ通知されます。LSA Type1やType2とは異なり、ABRを越えて他のエリアへも送信されます。
NSSA外部LSA(LSA Type7)
NSSA外部LSA(LSA Type7)は、NSSAというエリア内に存在しているASBRとなっているルータが生成し、
OSPFドメイン外の経路情報をOSPFドメイン内に伝える際に使用されるLSAです。
このLSA はNSSAとトータリーNSSAというエリアでのみ存在することができるLSAです。NSSAではLSA Type5が存在できないため、
その代わりにLSA Type7 が使用されます。以下の図の構成で見てみましょう。
バックボーンエリアはNSSAに設定できないため、先ほどまでの説明に使用していた図を少し変え、エリア1側に
他のルーティングプロトコルとの境界がある構成としています。ASBRに再配送の設定を行うことで、他のプロトコルの
経路情報をOSPFドメイン内に取り込むことができ、NSSA内にLSA Type7で通知されます。
LSA Type7 内に含まれる内容はLSA Type5 と似た情報で、外部ネットワークのネットワークアドレス、
サブネットマスクの情報、メトリックなどが含まれます。LSA Type7はNSSA内でのみ使用されるLSAのため、
NSSA外のエリアへはABRによってLSAType5に変換され送信されます。
なお、NSSAに属するASBRでも経路集約を行うことが可能です。
今回のまとめ
今回は残りのType4からType7までの役割と特徴を確認しました。
LSA Type4はASBRの情報を通知するためだけに使用されるため、ルーティングテーブルなどには直接反映されるものではありません。
LSA Type5やType7は外部ルートを再配送によってOSPF内に取り込んだ際に、そのルート情報を通知するために使用されます。
これらのLSAの情報はルーティングテーブルにも反映されるため、非常に重要な役割を果たします。
どういった時に送信されるのかをしっかりと覚えておきましょう。
■今回のポイント
・LSA Type4はASBRの情報を通知する際に使用されるLSA
・LSA Type5は再配送された外部ルートをOSPF内に通知する際に使用されるLSA
・LSA Type7もLSA Type5と同様に再配送された外部ルートをOSPF内に通知する際に使用されるが、
LSA Type7はNSSAとトータリーNSSAというエリアの中でしかやり取りされないLSA
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