Infra Engineer

【CCNP解説_OSPF編 17】LSAのタイプ②
2021.11.30
Lv2

【CCNP解説_OSPF編 17】LSAのタイプ②

LSAのタイプ②


前回はLSAのType1からType3までについて説明しました。
今回は残りのType4、Type5、Type7について見ていきましょう。


LSAの各タイプの特徴

OSPFで使用される6種類のLSAについておさらいしておきましょう。

 • ルータLSA(LSA Type1)
 • ネットワークLSA(LSA Type2)
 • サマリーLSA(LSA Type3)
 • ASBR サマリーLSA(LSA Type4)
 • AS 外部LSA(LSA Type5)
 • NSSA外部LSA(LSA Type7)

今回はLSAのType4~7までの役割と特徴を見ていきます。


ASBRサマリーLSA(LSA Type4)

ASBRサマリーLSA(LSA Type4)ABRとなっているルータが生成し、他のエリアにASBRの情報を伝える際に使用されるLSAです。
このLSA 内にはASBRのルータIDやコストなどの情報が含まれています。
 
以下の図の場合、エリア0に存在するASBRの情報をRouter4に伝えるためにABRによって使用されます。

LSA Type1には自身がASBR かどうかを示す情報が含まれているため、それを受け取ったABRが
LSA Type4を使用して他のエリアへと通知します。
エリア0のルータは、同一エリア内にASBRが存在しているためLSA Type1でASBRの情報がわかるので、LSA Type4 は必要ありません。
また、ASBR が存在していなければ、LSA Type4は生成されることはありません。


AS外部LSA(LSA Type5)

AS外部LSA(LSA Type5)ASBRとなっているルータが生成し、OSPFドメイン外の経路情報をOSPFドメイン内に
伝える
際に使用されるLSAです。
このLSA内には外部ネットワークのネットワークアドレス、サブネットマスクの情報、メトリックなどが含まれます。

OSPFドメインというのは、同一の運用方法で動作させているOSPFルータで構成されているネットワークです。
OSPFドメイン外の経路情報とは、OSPF以外のルーティングプロトコルやスタティックルートなどで登録された
ネットワークの情報を指します。
このように、あるルーティングプロトコルで得たルート情報を別のルーティングプロトコルに変換して流すことを再配送といいます。
LSA Type5は一部のエリアを除いてOSPFネットワーク内の全エリアへ送信されます。

以下の図の場合、ASBRに再配送の設定をすることで他のプロトコルの経路情報をOSPFドメイン内に取り込むことができ、
LSA Type5でOSPF内へ通知されます。LSA Type1やType2とは異なり、ABRを越えて他のエリアへも送信されます。


NSSA外部LSA(LSA Type7)

NSSA外部LSA(LSA Type7)は、NSSAというエリア内に存在しているASBRとなっているルータが生成し、
OSPFドメイン外の経路情報をOSPFドメイン内に伝える
際に使用されるLSAです。

このLSA はNSSAとトータリーNSSAというエリアでのみ存在することができるLSAです。NSSAではLSA Type5が存在できないため、
その代わりにLSA Type7 が使用されます。以下の図の構成で見てみましょう。

バックボーンエリアはNSSAに設定できないため、先ほどまでの説明に使用していた図を少し変え、エリア1側に
他のルーティングプロトコルとの境界がある構成としています。ASBRに再配送の設定を行うことで、他のプロトコルの
経路情報をOSPFドメイン内に取り込むことができ、NSSA内にLSA Type7で通知されます。

LSA Type7 内に含まれる内容はLSA Type5 と似た情報で、外部ネットワークのネットワークアドレス、
サブネットマスクの情報、メトリックなど
が含まれます。LSA Type7はNSSA内でのみ使用されるLSAのため、
NSSA外のエリアへはABRによってLSAType5に変換され送信
されます。

なお、NSSAに属するASBRでも経路集約を行うことが可能です。


今回のまとめ

今回は残りのType4からType7までの役割と特徴を確認しました。

LSA Type4はASBRの情報を通知するためだけに使用されるため、ルーティングテーブルなどには直接反映されるものではありません。
LSA Type5やType7は外部ルートを再配送によってOSPF内に取り込んだ際に、そのルート情報を通知するために使用されます。
これらのLSAの情報はルーティングテーブルにも反映されるため、非常に重要な役割を果たします。
どういった時に送信されるのかをしっかりと覚えておきましょう。


 ■今回のポイント

 ・LSA Type4はASBRの情報を通知する際に使用されるLSA
 ・LSA Type5は再配送された外部ルートをOSPF内に通知する際に使用されるLSA
 ・LSA Type7もLSA Type5と同様に再配送された外部ルートをOSPF内に通知する際に使用されるが、
  LSA Type7はNSSAとトータリーNSSAというエリアの中でしかやり取りされないLSA


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