● ロケーションプロバイダ
● 位置情報(ロケーション)
● GPS
● マップ
このように位置情報を取得するプロバイダにはGPSとネットワークプロバイダの2種類があります。
それぞれ異なる特徴を持っているので、位置情報を取得する際にはこれらの点に注意してロケーションプロバイダを使う必要があります。
正確さ | 取得までの時間 | バッテリー効率 | 屋内での使用 | |
---|---|---|---|---|
GPSプロバイダ | ○ | △ | × | × |
ネットワークプロバイダ | △ | ○ | ○ | ○ |
GPSプロバイダの利点は、その位置情報が『正確』ということです。
反面、衛星から位置データを受信するという機能のため、空の見えない『屋内』では使用できないことが多くなります。また、位置情報を取得するまでの時間もネットワークプロバイダに比べ長くかかりますし、バッテリーも多く消費します。
ネットワークプロバイダの利点は、GPSプロバイダとは逆に取得までの時間が短かったり、屋内でも利用できるという点があげられます。また、Android端末はネットワークに常時接続していることがほとんどですので、バッテリーを余計に消費するということもありません。
しかし、位置情報の正確さはGPSから取得した場合に比べ低くなります。
では実際にロケーションプロバイダから位置情報を取得するための手順に沿って、ロケーション・フレームワークの使用方法を紹介します。
センサーから値を取得する手順ととても似ていることがわかります。
ある機能(あるActivity)をアクティブにしたときにリスニングを開始するようなアプリケーションの場合、長い時間リスニングし続けるとバッテリの消耗が激しくなってしまいます。必要な情報を取得したら直ちにリスナーの解除を行うことが大切ですが、位置情報の場合は、リスニング期間が短すぎると位置情報の正確性が損なわれることがあるので注意が必要です。
private LocationManager locationManager; // ...省略... locationManager = (LocationManager) getSystemService(Context.LOCATION_SERVICE);
getSystemService()メソッドはContextクラスで定義されているメソッドで、センサーでもSensorManagerオブジェクトを取得する際に使用しました。
LocationManagerオブジェクトを取得する場合には、このメソッドの引数にContextクラスに定義されているLOCATION_SERVICE定数を使います。
なお、戻り値はObjectクラスのため、キャストする必要がある点も同様です。
また、位置情報を取得するには、マニフェストファイルにパーミッションを設定する必要があります。
パーミッション | 意味 |
---|---|
android.permission.ACCESS_COARSE_LOCATION | 3G(LTE)やWiFiのネットワークプロバイダを使用する際に設定する。 |
android.permission.ACCESS_FINE_LOCATION | GPSプロバイダおよびネットワークプロバイダを利用する際に設定する。 |
android.permission.ACCESS_MOCK_LOCATION | エミュレータ上で位置情報を扱いたい際に設定する。DDMSを利用してデバッグ用に疑似的に位置情報を更新することができる。 |
LocationListenerインタフェースにはコールバックメソッドとして、4つのメソッドonStatusChanged()メソッド、onProviderEnabled()メソッド、onProviderDisabled()メソッド、onLocationChanged()メソッドが定義されています。
onLocationChanged()メソッドのシグネチャは以下の通りです。このメソッドは位置情報が変化したときに呼ばれるコールバックメソッドで、位置情報の取得はここで行うことができます。
public void onLocationChanged (Location location)
onProviderDisabled()メソッドのシグネチャは以下の通りです。このメソッドはロケーションプロバイダが使用不可なったときに呼ばれるコールバックメソッドです。
public void onProviderDisabled (String provider)
onProviderEnabled()メソッドのシグネチャは以下の通りです。このメソッドはロケーションプロバイダが使用可能になったときに呼ばれるコールバックメソッドです。
public void onProviderEnabled (String provider)
onStatusChanged()メソッドのシグネチャは以下の通りです。このメソッドはロケーションプロバイダの状態が変化したとき(サービス外になった、使用可能状態になった、一時的に使用不可状態になった等)に呼ばれるコールバックメソッドです。
public void onStatusChanged (String provider, int status, Bundle extras)
LocationListenerインタフェースを実装したクラスを作成し、これら4つのメソッドをオーバーライドします。
public class MyLocationListener implements LocationListener { @Override public void onLocationChanged(Location location) { double longitude = location.getLongitude(); double latitude = location.getLatitude(); } @Override public void onProviderDisabled(String provider) { // プロバイダが使用不可に変更された時の処理 } @Override public void onProviderEnabled(String provider) { // プロバイダが利用可能に変更された時の処理 } @Override public void onStatusChanged(String provider, int status, Bundle extras) { // ステータス情報が変更された時の処理 } }
あとは、作成したクラス(MyLocationListenerクラス)をインスタンス化し、LocationManagerクラスに定義されているrequestLocationUpdate()メソッドを呼び出すことでイベントリスナーの登録を行います。
private LocationListener listener; // ...省略... listener = new MyLocationListener(); locationManager.requestLocationUpdates(LocationManager.NETWORK_PROVIDER, 0, 0, listener);
requestLocationUpdate()メソッドは4つの引数をとるメソッドであり、以下の値を指定します。
データ型 | 引数名 | 概要 |
---|---|---|
String | provider | GPSプロバイダを利用する場合にはLocationManager.GPS_PROVIDER、ネットワークプロバイダを利用する場合にはLocationManager.NETWORK_PROVIDERを指定する。 |
long | minTime | 位置情報の取得の最小時間間隔を指定する。 単位はms(ミリ秒)で、60,000以上が推奨される。なお、0を指定すると時間間隔は無視され、前回LocationChangeイベントが発生した時との距離間隔のみを基準としてLocationChangeイベントが発生する。 |
float | minDistance | 位置情報の取得の最小距離間隔を指定する。 単位はm(メートル)で、0を指定すると距離間隔は無視され、前回LocationChangeイベントが発生した時との時間間隔のみを基準としてLocationChangeイベントが発生する。 |
LocationListener | listener | LocationListenerオブジェクトを指定する。 |
minTimeおよびminDistanceをどちらも0に設定すると、可能な限り頻繁に位置情報取得を行うことになります。
GPSプロバイダとネットワークプロバイダの両方を使用して位置情報を取得したい場合は、requestLocationUpdate()メソッドを2回呼び出すことによって行うことが可能です。
このクラスはロケーションプロバイダから取得した情報をラッピングしているクラスで、以下のようなメソッドを使用することで値を取得することができます。
メソッドのシグネチャ | 取得できる情報 |
---|---|
public float getAccuracy () | 精度 |
public double getLatitude () | 緯度 |
public double getLongitude () | 経度 |
public float getSpeed () | 移動速度(m/s) |
public double getAltitude () | 標高 |
● 位置情報プロバイダが2種類存在する
● ユーザーの位置情報は変化する
● 位置情報の精度が一貫していない
位置情報を使ったアプリケーションでは以上のことを考慮し、いくつかの基準をもとに位置情報をフィルタリングするロジックを含める必要があります。
フィルタリング時のチェック項目の例は以下のようになります。
● 取得した位置情報が前データに足して大幅に新しくないか
● 位置情報の精度が前データに対より正確か不正確か
● 新しい位置情報のロケーションプロバイダがGPSなのかネットワークなのか
位置情報リスニング開始から最適な測定結果決定までのフローは以下のようになります。
- アプリケーションの開始
- 目的とするロケーションプロバイダからのリスニング開始
- 新しいデータのうち、不正確な情報は破棄
- 新しいデータのうち、正確な情報を「現時点での最適な測定結果」を保持し続ける
- リスニングの停止
- 最後の測定結果をアプリケーションに反映
[clearboth]
最適な測定結果を得るためには様々なチェックを行う必要があります。
以下にAndroid開発ガイドで紹介されているサンプルを掲載します。
http://developer.android.com/guide/topics/location/obtaining-user-location.html
private static final int TWO_MINUTES = 1000 * 60 * 2; // locationとcurrentBestLocationを比較し、よりよい位置情報を判定する // @param location 新しい位置情報 // @param currentBestLocation 現時点における最適な測定結果 private boolean isBetterLocation(Location location, Location currentBestLocation) { if (currentBestLocation == null) { // 現在の位置情報がない場合は、新しい位置情報に置き換える return true; } // 取得時間のチェック long timeDelta = location.getTime() - currentBestLocation.getTime(); boolean isSignificantlyNewer = timeDelta > TWO_MINUTES; boolean isSignificantlyOlder = timeDelta 0; // 現在の位置情報が2分以上前の場合、新しい位置情報に置き換える if (isSignificantlyNewer) { return true; // 新しい位置情報が現在の位置情報より2分以上前の場合、不正データとして破棄する } else if (isSignificantlyOlder) { return false; } // 精度のチェック // Location#getAccuracy() : 位置情報の精度をメートル単位で返す。データ型はfloat int accuracyDelta = (int) (location.getAccuracy() - currentBestLocation.getAccuracy()); boolean isLessAccurate = accuracyDelta > 0; // 精度が落ちた場合 boolean isMoreAccurate = accuracyDelta 200; // 現在の位置情報と新しい位置情報が同じプロバイダからの場合 boolean isFromSameProvider = isSameProvider(location.getProvider(), currentBestLocation.getProvider()); // 精度が上がった場合 if (isMoreAccurate) { return true; // 新しい位置情報が最新、かつ精度が落ちていない場合 } else if (isNewer && !isLessAccurate) { return true; // 新しい位置情報が最新、かつ精度が200m以内、かつ同じプロバイダからの位置情報の場合 } else if (isNewer && !isSignificantlyLessAccurate && isFromSameProvider) { return true; } return false; } /* * provider1とprovider2が同じか判定する */ private boolean isSameProvider(String provider1, String provider2) { if (provider1 == null) { return provider2 == null; } return provider1.equals(provider2); }