【CCNA・CCNP試験対策】ネットワークの基礎から学んでいこう!【STP解説編】Part 2
CCNA,CCNPの勉強をしている方に向けて、今回もSTP(スパニングツリープロトコル)の解説をしていこうと思います。前回は、STPの基礎知識についてでした。今回から本格的に、STPの動作の仕方などについて書いていこうと思います。
CCNAでもCCNPSwitchの試験でも出題される非常に重要な分野ですので、勉強の助けになれば幸いです。
【目次】
ルートブリッジの選出
STPでは、ループの回避のためにスイッチ同士で計算を行い、どれかのポートをシャットダウンしています。
シャットダウンするポート(非指定ポート)を決定するために、まずはルートブリッジと呼ばれる基準となるスイッチを決定します。スイッチ同士を接続すると、BPDUというパケットを交換し合います。BPDUの中には、それぞれのスイッチに設定されているブリッジID、パスコスト、ポートIDなどの情報が格納されています。
スイッチはそれぞれのブリッジIDという数値を比較してルートブリッジの選出を行います。ブリッジIDは、ブリッジプライオリティとMACアドレスで構成されていて、ブリッジIDが最も小さい値のスイッチがルートブリッジに選出されます。
具体的には、まずブリッジプライオリティを比較して最も値が小さいもの、もしブリッジプライオリティの値が同じ場合はMACアドレスを比較して最も値が小さいものというように選出されます。
ブリッジプライオリティの値は管理者が設定することができ、デフォルトの値は32768+VLAN番号の値になっています。管理者が設定することが出来るのは、32768の値の部分で、4096の倍数で設定することが可能になっています。
ポートの役割の決定
ルートブリッジが選出されたら、次に全てのスイッチでポートの役割の選出が行われます。ポートの役割には、ルートポート、指定ポート、非指定ポートの3つがあります。
ルートポートの選出
まずはルートポートの選出です。ルートポートはルートブリッジ以外の全てのスイッチで1ポートずつ選出され、ルートブリッジに最も近いポートです。
ルートポートはルートブリッジからのBPDUを受信するポートになり、通信の転送も行うポートです。
BPDUの中には、パスコストという情報が格納されています。パスコストはリンクの帯域幅によって決まっていて、この値が低いほどルートブリッジまでの距離が近いということになっています。
帯域幅 | パスコスト |
---|---|
Ethernet(10Mbps) | 100 |
FastEthernet(100Mbps) | 19 |
GigabitEthernet(1Gbps) | 4 |
10GigabitEthernet(10Gbps) | 2 |
各ポートでルートブリッジまでの距離(パスコスト)の合計値をルートパスコストと呼び、スイッチの中で最もルートパスコストの小さいポートがルートポートに選出されます。ルートブリッジでは、ルートポートの選出は行われません。
指定ポート・非指定ポートの選出
ルートポートが選出された後は、各セグメント毎に1つずつ指定ポートの選出を行います。指定ポートは各セグメントの中で最もルートブリッジに近いポートです。指定ポートは通信の転送を行います。
指定ポートの選出にもルートパスコストを使用します。ルートパスコストは、ルートポートの選出に使用したものと同じです。各スイッチでルートポートのルートパスコストを比較して、小さい値を持つスイッチのポートが指定ポートに選出されます。ルートパスコストが同じ場合には、それぞれのスイッチのブリッジIDを比較して、ブリッジIDの低い側のスイッチのポートが指定ポートに選出されます。
ルートブリッジは、ルートパスコストが0として扱われるので、全てのポートが指定ポートに選出されます。
最後に、ルートポートにも指定ポートにも選出されなかったポートが非指定ポートになります。非指定ポートはブロックされて、通信がループするのを防ぎます。
まとめ
今回の記事では、STPのポートの選出方法について書いてきました。
今回のポイントをまとめました。
- BPDUを交換し合い、ブリッジID(プライオリティとMACアドレス)が最も小さいスイッチがルートブリッジとなる。
- ルートブリッジ以外の全てのスイッチでパスコストを比較して、最もパスコストの小さいポートがルートポートに選出される。
- 各セグメントでルートパスコスト、ブリッジIDを比較して、最もパスコストの小さい(ブリッジIDの小さい)スイッチのポートが指定ポートに選出される。
- ルートポートにも指定ポートにも選出されなかったポートが非指定ポートとなり、ブロックされる。
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