【CCNP解説_OSPF編 9】DRとBDRの選出例
DRとBDRの選出例
今回はDRとBDRが選出される例を図をもとに確認していきましょう。
まず、DRとBDRの選出基準についてもう一度復習します。
・DRとBDRはルータプライオリティとルータIDという2つの値を用いて選出している
・ルータプライオリティの値が最も大きいルータがDR、2番目に大きいルータがBDRとなる
・ルータプライオリティの値が同じ場合、ルータIDの大小の比較でDRとBDRを選出する
・ルータIDは以下の順番で決定される
1.コマンドによる設定
2.ループバックインターフェイスのIPアドレスで最大のIPアドレス
3.有効な物理インターフェイスのIPアドレスの中で最大のIPアドレス
このルールをしっかりと覚えておきましょう。
プライオリティ値とルータIDの確認
各ルータのプライオリティ値は図の「pri」と書かれた値です。
各ルータのルータIDは以下の通りになります。
ルータ | ルータID |
---|---|
Router1 | 192.168.1.1 |
Router2 | 192.168.1.2 |
Router3 | 192.168.10.3 |
Router4 | 192.168.10.1 |
Router5 | 5.5.5.5 |
Router1、Router2、Router3、Router4は、物理インターフェイスの中で最も大き
いIPアドレスのものがルータIDとなります。Router5はループバックインターフェイス
があるため、そちらのIPアドレスがルータIDとなります。
また、OSPFで使用されるプライオリティ値は各インターフェイスごとに設定されますが、
ルータIDはインターフェイスに関係なくルータに1つの値となる点にも注意してください。
ネットワークセグメントごとにDRとBDRの選出
図の構成の場合、192.168.1.0/24と192.168.10.0/24のそれぞれのネットワークでDRとBDRが選出されます。
192.168.1.0/24のネットワークでは、各ルータのルータプライオリティの値が1で等しいため、
ルータIDが最も大きいRouter3がDRとなり、次に大きいRouter2がBDRとなります。
192.168.10.0/24のネットワークでは、Router4のルータプライオリティの値が最も大きいため、
ルータIDの大小に関係なくRouter4がDRとなります。次にルータプライオリティの値が大きいRouter3がBDRです。
このようにそれぞれのネットワークセグメント内でDRとBDRが選出されます。
Router3のように複数のネットワークセグメントにつながっているルータでは、DRやBDRが複数選出されることがあります。
また、一度DR とBDRの役割が決定すると、その後にルータプライオリティの値やルータIDの
大きいルータが追加されても、DRやBDRに障害が発生するか再起動しない限り役割が切り替わることはありません。
今回のまとめ
各ルータに設定されているプライオリティ値とルータIDがわかれば、自動的にどのルータがDRやBDRに
選出されているかが分かります。DRやBDRに選出されたルータは他のルータに比べて処理が多くなるため、
実環境においてはよりスペックの高いルータがDRなどに選ばれるようにプライオリティ値やルータIDを
他のルータより大きな値に設定することがあります。
これらのルールをしっかりと押さえておきましょう。
■今回のポイント
・ルータプライオリティの値が最も大きいルータがDR、2番目に大きいルータがBDRとなる
・ルータプライオリティの値が同じ場合、ルータIDの大小の比較でDRとBDRを選出する
・プライオリティ値は各インターフェイスごとに設定される
・ルータIDはそのルータに1つだけ
・複数のネットワークに接続しているルータはDRやBDRが複数選出されることもある
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