【CCNP解説_OSPF編 7】DRとBDRの選出基準
DRとBDRの選出基準
今回はDRとBDRを選出する基準について見ていきましょう。
DRとBDRはネットワークセグメントごとに、Helloパケットにより選出されます。
以前説明したステータス遷移でいうと、2-Wayステートでネイバー関係が構築された後に選出されています。
OSPFでは、ルータプライオリティとルータIDの値を基にDRとBDRを選出しています。
ルータプライオリティ
DRとBDRを選出する際は、同一ネットワークでルータプライオリティの値を比較します。
ルータプライオリティは、インターフェイスごとに設定ができるようになっています。
ルータプライオリティはHelloパケット内に含まれているため、ルータ間でHelloパケットを
送受信することで、お互いのルータプライオリティを把握することができます。
ルータプライオリティの値が最も大きいルータがDR、2番目に大きいルータがBDRに選出されます。
インターフェイスのルータプライオリティのデフォルト値は1で、設定によって0から255までの
任意の値を設定することができます。ルータプライオリティの値を0にした場合は、
DRやBDRに選出されず、強制的にDROtherとなります。
そのため、DRやBDRを選出するマルチアクセス環境で全ルータのプライオリティを
0にしてしまうと、正常に動作しなくなるので設定時には注意が必要です。
ルータID
ルータプライオリティの値が同じだった場合は、次にルータIDの大小関係によってDRとBDRを選出します。
ルータIDは各ルータを識別するためのもので、OSPFを動作させているルータ間で
一意となる必要があります。このルータIDを比較し、ルータIDが最大のルータがDR、
2番目に大きいルータがBDRとなります。
ルータIDは32ビットの値で、OSPFでやり取りされるパケットの共通ヘッダに含まれています。
ルータIDは手動で設定できますが、設定しなかった場合、自動でルータIDが決定されます。
ルータIDは次の順番に決定されます。
1.コマンドによる手動設定
2.有効なループバックインターフェイスのIPアドレスの中で最も大きなIPアドレス
3.有効な物理インターフェイスのIPアドレスの中で最も大きなIPアドレス
安定した値が設定されることが望ましいため、このような順番となっています。
ケーブルの状態などにより、up/downする可能性のある物理インターフェイスよりも、
意図的にシャットダウンしない限り、downしないループバックインターフェイスの方が優先されます。
インターフェイスは、OSPFが動作していなくてもupしているインターフェイスであれば
ルータID選出の対象となります。
なお、ルータIDはOSPFの各ルータで一意の値となる必要があるため、同じルータIDを持つ
ルータ同士ではネイバー関係を構築することができない点にも注意が必要です。
今回のまとめ
OSPFでは、DRとBDRをルータプライオリティとルータIDという2つの値を用いて、
その大小関係を比較して選出しています。
ルータプライオリティの最も大きなルータがDR、2番目のルータがBDRとなります。
ルータプライオリティが同じで差が付かない場合は、次にルータIDの大小関係を
比較してDRとBDRを選出します。ルータIDも最も大きな値が設定されているルータが
DRとなります。
■今回のポイント
・DRとBDRはルータプライオリティとルータIDという2つの値を用いて選出している
・ルータプライオリティの値が最も大きいルータがDR、2番目に大きいルータがBDRとなる
・ルータプライオリティの値が同じ場合、ルータIDの大小の比較でDRとBDRを選出する
・ルータIDは以下の順番で決定される
1.コマンドによる設定
2.ループバックインターフェイスのIPアドレスで最大のIPアドレス
3.有効な物理インターフェイスのIPアドレスの中で最大のIPアドレス
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