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【CCNP解説_OSPF編 2】OSPFで使用される5種類のパケット
2021.03.03
Lv2

【CCNP解説_OSPF編 2】OSPFで使用される5種類のパケット

OSPFで使用される5種類のパケット


OSPFでは5種類のパケットを用いて情報の交換を行い、3種類のテーブルを作成します。
また、情報交換の過程において最大8種類のステータスを遷移していきます。

今回はOSPFで使用される5種類のパケットについて説明します。


5種類のパケット一覧

OSPFでは次の5種類のタイプのパケットを使用します。

タイプ パケット名 用途
1 Helloパケット ネイバーの検出と関係維持のために使用される
2 DBD(DDP)パケット LSDBの同期のために使用される
3 LSRパケット 詳細なLSAの問い合わせに使用される
4 LSUパケット LSAを送信するために使用される
5 LSAckパケット LSUを受信した際の受け取り確認に使用される

パケットにはどのタイプでも共通のOSPFヘッダが付いています。
そのOSPFヘッダには、エリアIDルータID認証に関する情報エリアの情報
などが格納されています。

各パケットについて、もう少し細かく見ていきましょう。


Helloパケット

Helloパケットは、OSPFを動作させたルータがマルチキャストアドレス224.0.0.5宛に
送信します。OSPFを動作させている・隣接しているルータをネイバーといい、
Helloパケットはネイバーの検出と関係維持に使用されます。

HelloパケットにはHelloパケットを送信する間隔(Helloインターバル)や
ネイバーがダウンしたと見なすまでの時間(Deadインターバル)、
インターフェイスのサブネットネットマスク、自身のルータID、エリアID、認識しているネイバーの一覧、
スタブフラグなどのオプション情報、認証の情報などが含まれています。

ネットワークのタイプにより異なりますが、イーサネット環境においては
デフォルトで10秒ごとに送信し、40秒間ネイバーからHelloパケットが届かなかった場合に
ネイバーがダウンしたと見なします。

Helloパケットを受信したルータは、Helloインターバル、Deadインターバル、
サブネットマスク、エリアID、オプションに含まれるスタブフラグ、認証の情報
が一致していなければ、ネイバーとは見なしません。


DBD(DDP)パケット

DBD(Database Description)パケットはLSDBの要約情報を送信し、
LSDBを同期するために使用されます。

DBDパケットにはフラグやDDシーケンス番号やLSAヘッダが格納されています。
LSAのヘッダ情報だけなので、メトリックやネットワークなどの詳細な情報は格納されていません。
LSAの一覧だけを交換しているような形となります。

このDBDパケットはDDシーケンス番号で管理するため、最初にDDシーケンス番号を
同期させる必要があります。最初のDBDパケットでルータIDからマスタースレーブの役割を決め、
ルータIDの大きいマスター側のシーケンス番号に合わせるようになっています。

以後はそのシーケンス番号を増やしていく形でDBDパケットを交換していきます。


LSRパケット

LSR(Link State Request)パケットは、DBDパケットをネイバーと交換した後、
詳細なLSAの情報を要求するために使用されます。

LSAのタイプや必要としているLSAをアドバタイズしているルータのルータIDなどが含まれます。

DBDパケットを受け取った後、受信したDBDパケット内のLSA一覧に自身のLSDBに
保持していない情報が存在した場合に、それらの情報を問い合わせる際に用いられます。


LSUパケット

LSU(Link State Update)パケットは、LSRによる要求を受け取った際に
LSAを送信するために使用されます。LSAにはLSAのタイプやネットワークとサブネットマスク、
コストなどといった詳細なインターフェイスの情報が格納されています。

LSUパケットでは、一度に複数のLSAを送信することができるようになっています。


LSAckパケット

LSAck(Link State acknowledgment)パケットは、LSUパケットを受信したことを
送信側に伝えるための確認応答のために使用されます。

受信したLSAのLSAヘッダが格納されています。


今回のまとめ

OSPFではこのように複数のパケットをやり取りすることでLSAの情報交換を
行っています。その中でも特に重要なのはHelloパケットの役割です。

Helloパケットは隣接ルータとネイバー関係を築く用途と、ネイバー関係を築いた後に
そのルータが正常に動作しているかどうかを確認する生存確認の用途で用いられています。

Helloインターバル10秒Deadインターバル40秒という秒数も覚えましょう。


 ■今回のポイント

 ・OSPFでは5種類のパケットを用いて様々な情報交換を行う
 ・特に大事なパケットはHelloパケット
 ・Helloパケットはネイバー確立と生存確認の役割がある
 ・Helloインターバル10秒、Deadインターバル40秒


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