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【独学CCNA】022.プライべートIPアドレスとその他の特殊なIPアドレス
2021.10.28
Lv1

【独学CCNA】022.プライべートIPアドレスとその他の特殊なIPアドレス

ゼロからのCCNA独学講座

本連載では、シスコ技術者認定資格であるCCNA合格を目指して、試験範囲の解説や問題演習などを扱っていきます。
前回はネットワークアドレスとブロードキャストアドレスについて説明しました。
今回はプライベートIPアドレスとその他の特殊なIPアドレスについて説明します。

  • プライベートIPアドレス
  • その他の特殊なIPアドレス
  • まとめ
  • 確認問題

プライベートIPアドレス

プライベートIPアドレスとは、家庭内や社内などの組織内で割り当てることが出来る特殊なIPv4アドレスです。ローカルIPアドレスとも言います。
プライベートIPアドレスが考案されたのにはIPv4アドレスの枯渇という問題があります。
IPv4アドレスはインターネット上で一意とならなければならず、重複が許されません。
しかし、インターネットの普及が進むにつれて、インターネットに接続する端末が爆発的に増加し、全ての端末に一意のIPアドレスを割り振ることは難しくなってきました。
そこで家庭内や社内といったプライベートなネットワークでのみ使用できるプライベートIPアドレスが考えられました。
プライベートIPアドレスとして定められた範囲のIPv4アドレスは、プライベートネットワーク内で重複していなければ自由に割り振ることが出来ます。
プライベートIPアドレスの範囲はRFC1918で定められており、以下の通りとなります。

  • 10.0.0.0~10.255.255.255(10.0.0.0/8)
  • 172.16.0.0~172.31.255.255(172.16.0.0/12)
  • 192.168.0.0~192.168.255.255(192.168.0.0/16)
    • プライベートIPアドレスは、異なるLAN上のネットワークと同じアドレスを使用していても問題なく使うことが出来ます。
      但し、プライベートIPアドレスはインターネット上では使えない特殊なIPv4アドレスと定められています。
      なので、インターネットに出る際はプライベートIPアドレスをインターネット上で使えるIPv4アドレスに変換する必要があります。
      インターネット上で使えるIPv4アドレスのことをグローバルIPアドレス(またはパブリックIPアドレス)といいます。
      また、プライベートIPアドレスとグローバルIPアドレスの変換を行う機能のことをNAT(Network Address Translation)といいます。
      NATにより、各ネットワークに1つのグローバルIPアドレスを割り当てていれば、プライベートIPアドレスを持った端末がインターネットに接続することが出来るようになっています。

      NATについては後の連載で詳しく説明します。

      その他の特殊なIPv4アドレス

      ネットワークアドレスのようにホストには直接割り当てることが出来ないアドレスや、プライベートアドレスのように用途が定められているアドレスは他にいくつも存在します。
      今回はそのうち、知らないうちに日常で間接的に使っていたり、実際の現場で目にすることもあるようなアドレスを3つピックアップして紹介します。

      マルチキャストアドレス

      アドレス範囲:224.0.0.0~239.255.255.255(224.0.0.0/3)
      マルチキャストアドレスは、マルチキャスト通信に使われるアドレスです。ホストに直接割り当てることはできません。
      マルチキャスト通信とは決められた複数の端末に対して同時にデータを送出する通信のことです。主にテレビ会議や動画配信などで使用されます。

      ローカルループバックアドレス

      アドレス範囲:127.0.0.0~127.255.255.255(127.0.0.0/8)
      ローカルループバックアドレスは、ネットワーク機器がネットワーク機器自身を指定するために使用されるアドレスです。
      IPネットワークの接続テストを行ったり、サービスが正常に動作しているかどうかを確認したい時に用いられます。

      リンクローカルアドレス

      アドレス範囲:169.254.0.0~169.254.255.255(169.254.0.0/16)
      リンクローカルアドレスは、DHCPが機能せずIPv4アドレスの割り当てに失敗してしまった際に自動的に割り当てられるIPアドレスです。
      DHCPは、IP通信の基本設定(IPv4アドレスやサブネットマスク等)を自動的に行ってくれる便利なプロトコルです。DHCPについては後の連載で詳しく説明します。

      まとめ

      • プライベートIPアドレスは、家庭内や社内などの組織内でのみ扱うことが出来るIPv4アドレスです。
      • インターネット上で使えるIPv4アドレスのことをグローバルIPアドレスといいます。
      • IPアドレスの変換を行う機能のことをNATといいます。
      • プライベートIPを持つ端末がインターネットに接続するためには、NATを用いてプライベートIPアドレスをグローバルIPアドレスに変換する必要があります。

      確認問題

      次のうち正しい選択肢を選んでください。

      1. プライベートIPアドレスは異なるLAN上のネットワーク内のホストと重複しても問題なく使うことが出来る。
      2. マルチキャスト通信とはネットワーク上の全ての端末にパケットを送信する通信である。
      3. IPアドレスの変換を行う機能のことをDHCPという。
      解答・解説
      答え:1

      1)正解です。プライベートIPアドレスは異なるLAN上のネットワーク内のホストと重複しても問題なく使用できます。
      2)マルチキャスト通信とは決められた複数の端末に対して同時にデータを送出する通信のことです。
      3)IPアドレスの変換を行う機能はNATといいます。DHCPは、IP通信の基本設定を自動的に行ってくれる便利なプロトコルです。


      今回はプライベートIPアドレスについて説明しました。
      次回はICMPについて説明します。

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      当連載を執筆している講師陣が所属するITスクールSAK

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