【独学CCNA】036.Cisco機器の起動の流れと初期状態
ゼロからのCCNA独学講座
本連載では、シスコ技術者認定資格であるCCNA合格を目指して、試験範囲の解説や問題演習などを扱っていきます!
今回は、Cisco機器の起動の流れと機器の初期状態について解説します。
- Cisco機器の起動の流れ
- Cisco機器の初期状態
- まとめ
- 確認問題
Cisco機器の起動の流れ
前回()解説したとおり、Cisco機器には4つのメモリが搭載されています。そのうち、ROMには起動にまつわる3つのプログラムが、
フラッシュメモリにはCisco IOSが格納されています。
Cisco機器はこれらを用いて起動しているわけですが、どういった流れで起動しているのでしょうか?
今回はまず、機器の起動の流れをざっくりと確認してみましょう。
1.POSTによるハードウェアチェック
電源が入ると、ROM内のPOSTが動作してCPUなどのハードウェアの状態を確認します。
2.ブートストラップ読み込み
ROMからブートストラップを読み込み実行します。
ブートストラップはNVRAM内のコンフィギュレーションレジスタの値を読み込み、その値によって起動モードを決定します。
コンフィギュレーションレジスタは、起動する方式を定める値です。
デフォルトでは通常起動時に使用する「0x2102」という値がセットされています。
コンフィギュレーションレジスタの値としては、パスワードリカバリの際などに使用する「0x2142」などが用意されています。
3.Cisco IOSの読み込み
起動モードが決定したら、ブートストラップはCisco IOSを検索し、RAM上に展開します。
NVRAM上にstartup-configが存在した場合は、その内容をRAM上に展開し、running-configとして動作させます。
startup-configが存在しなかった場合は、初期状態として何の設定もされていない状態で起動します。
4.running-configの反映
RAM上に展開されたrunning-configの内容を反映し、動作します。
主な流れはこのようになっています。普段の業務などでは機器の起動の流れなどはあまり意識することはないかもしれませんが、startup-configとrunning-configの仕組みなどは覚えておく必要があります。起動の流れと合わせて把握しておきましょう。
Cisco機器の初期状態
さて、起動の流れは上記で説明したとおりです。startup-configが存在する場合、つまり既に一度起動し、何らかの設定を施した上で保存されている場合は上記のようにstartup-configの内容をrunning-configとしてRAM上に展開して動作します。
しかし、startup-configがない場合、工場出荷状態の機器を初めて起動した時や、意図的にstartup-configを削除した時は、初期設定用のセットアップモードで起動します。
セットアップモードは、ホスト名やIPアドレスといった基本的な設定を行うための対話式の設定モードです。
startup-configが無い状態で起動すると、このようにYESかNOを入力するよう表示されます。
YESを入力するとセットアップモードに移行して設定を行い、NOを入力すると何も設定を行わずにそのまま起動します。
セットアップモードに移行すると、対話式でいくつかの項目を設定してできるようになっています。
ただし、セットアップモードでは設定できる内容が限られています。
通常は、コマンドを用いて設定を行ったり、running-configの内容を流し込んだりして設定を行うため、セットアップモードを用いて設定することはあまりありません。
まとめ
- Cisco機器はPOSTによるハードウェアチェック、ブートストラップによるIOS読み込みなどを経て起動する
- startup-configがNVRAMに存在する場合、その内容をrunning-configとして読み込んで起動する
- startup-configが存在しない場合、初期状態として起動する
確認問題
以下の選択肢から正しいものを選んでください。
- 電源を入れると、一番初めにブートストラップが動作しCisco IOSを読み込む
- NVRAMにstartup-configが存在する場合、RAM上にrunning-configとして展開する
- セットアップモードでは機器のあらゆる設定を行うことができる
- ブートストラップはROM内に保存されているコンフィギュレーションレジスタを読み込む
今回はCisco機器の起動の流れと初期状態について説明しました。
次回はCisco機器のCLIの使い方を解説します。