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【独学CCNA】035.Cisco機器のメモリ
2021.10.27
Lv1

【独学CCNA】035.Cisco機器のメモリ

ゼロからのCCNA独学講座

本連載では、シスコ技術者認定資格であるCCNA合格を目指して、試験範囲の解説や問題演習などを扱っていきます!
今回は、Cisco機器のメモリについて解説します。

  • Cisco機器のメモリ構成
  • まとめ
  • 確認問題

Cisco機器のメモリ構成

Ciscoの一般的なルータやスイッチには、主に4種類のメモリが搭載されています。それぞれ役割が異なりますので、1つずつみていきましょう。
搭載されているメモリは主に以下の4種類です。

  • ROM
  • RAM
  • NVRAM
  • フラッシュメモリ


ROM

ROM(Read Only Memory)は、名前の通り読み込み専用のメモリです。基本的には、1度だけ書き込みができその後読み出しのみを行えるメモリを指します。消えてしまっては困るデータを収めるのに向いているメモリです。
なお、ROMは不揮発性(電源を切ってもデータを保持できる性質)のメモリになります。
Cisco機器のROMには主に機器の起動に関わる3種のプログラムが格納されています。POSTブートストラップROMMONの3つです。

POST(Power On Self Test)
POSTは、電源を投入した際に一番初めの動作する診断プログラムです。機器のCPU、メモリ、インターフェースなどのハードウェアに異常がないか、起動プロセスの初めに診断を行います。
ブートストラップ(ブートストラップローダ)
ブートストラップ(ブートストラップローダ)は、Cisco IOSを読み込むためのプログラムです。詳細な流れは次回の記事で解説しますが、Cisco IOSを後述するフラッシュメモリ上から検索し、RAM上に読み込んで動作させます。
ROMMON(ROMモニタ)
ROMMON(ROMモニタ)は、パスワードの復旧作業や一部のトラブルシューティングなどの際に使用するROMモニタモードを実行するプログラムです。通常の設定などでは使いませんが、上記の作業や、IOSのアップグレード、IOSのリカバリなどの際に用いる場合があります。


RAM

RAM(Random Access Memory)は、ROMとは異なり読み書きができるメモリです。PCなどの主記憶装置として使われているメモリと同様のものになります。RAMは揮発性(電源が入っている間だけデータを保持できる性質)のメモリです。
RAMには、起動時にブートストラップとCisco IOSが読み込まれ、起動後は稼働中の設定情報(running-config)などを展開しておくメモリになります。ルーティングテーブルやARPテーブルといった、機器の稼働中のみ保持する情報はRAMに展開されています。


NVRAM

NVRAM(Non-Volatile RAM)は、読み書き可能かつ不揮発性で、電源を落とした後もデータを保持できるメモリです。Ciscoの機器では、保存した設定情報(startup-config)を格納するメモリとして、またコンフィギュレーションレジスタと呼ばれる起動方法を示す値を格納するメモリとして使われています。

稼働中の設定情報(running-config)と保存した設定情報(startup-config)という言葉が出てきましたが、これらはCiscoの機器を扱う上で非常に重要なものですので覚えておきましょう。
startup-configは、保存済みの設定を指しています。機器は起動する際にstartup-configを読み込み、running-configにコピーします。running-configは、現在稼働している機器に設定されている内容を指します。稼働中の機器に何か設定を施した場合、running-configに反映されます。機器に設定した内容を保持したい場合は、コマンドでrunning-configの内容をstartup-configにコピーします。startup-configは不揮発性のメモリであるNVRAMに保存されていますので、電源を落とした後も保持されるます。

running-configやstartup-configの確認の仕方や内容の見方などは、今後の記事で扱っていきます。


フラッシュメモリ

フラッシュメモリ、あるいはFLASHは、読み書き可能なメモリです。身近なものだとUSBメモリなどに用いられています。
Ciscoの機器では、Cisco IOSが格納されています。起動時にブートストラップが、フラッシュメモリ内に格納されたIOSをRAMに展開して起動します。


このように、Ciscoのルータやスイッチには主に4種のメモリが搭載されています。もちろん機種によって変わる場合もありますので、実際に機器に触れる際はデータシートなどを確認してみてください。

メモリの説明の中で、ブートストラップやPOST、コンフィギュレーションレジスタなどの用語がでてきました。これらは機器の起動時に関わってくるものになります。
次回は機器の起動の流れとCisco機器の初期状態について解説していきます。

まとめ

  • Ciscoの機器にはROM/RAM/NVRAM/フラッシュメモリの4つのメモリが搭載されている
  • 4つのメモリがそれぞれ異なる役割を果たしている
  • startup-configには保存された設定情報が、running-configには稼働中の設定情報が反映される

確認問題

以下の選択肢から正しいものを選んでください。

  1. NVRAMは揮発性で、電源を落とすとデータが消去される
  2. ROMにはCisco IOSが格納されている
  3. 稼働中の機器に施した設定は、startup-configに反映される
  4. 起動時には、ROMに保存されたPOSTやブートストラップが動作する
解答・解説
答え:4

1) NVRAMはRAMと異なり不揮発性のメモリで、電源を落とした後もデータを保持することができます。
2) ROMにはPOST、ブートストラップ、ROMMONといった起動に関連するプログラムが保存されています。IOSが保存されているのはフラッシュメモリです。
3) 稼働中の機器に施した設定は、startup-configではなくrunning-configに保存されます。
4) 正解です。


今回はCisco機器のメモリ構成について解説しました。
次回はCisco機器の起動の流れと初期状態について解説します。

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当連載を執筆している講師陣が所属するITスクールSAK

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