【CCNP解説_OSPF編 12】OSPFのネットワークタイプ
OSPFのネットワークタイプ
OSPFには接続しているインターフェイスの規格やレイヤ2のプロトコルなどにより、いくつかのネットワークタイプに分けられています。
ネットワークタイプが異なると、Helloパケットの送信間隔やHelloパケットによるネイバーの自動検出ができるかどうかなどが変わります。
Cisco機器ではOSPFのネットワークを5つのタイプに分けて扱っていますので、それぞれの特徴を見ていきましょう。
OSPFの5つのネットワークタイプ
イーサネット環境のデフォルトのネットワークタイプはブロードキャストです。
NBMA、ポイントツーマルチポイント、ポイントツーマルチポイント(ノンブロードキャスト)と呼ばれる3つのネットワークタイプは、
フレームリレーなどのWAN回線において構成の違いなどによって使い分けを行います。
Ciscoルータで使用できるネットワークタイプは、次の表の5つです。
ネットワークタイプ | DRとBDR | ネイバー検出 | Hello/Dead インターバル |
ネットワーク例 |
---|---|---|---|---|
ブロードキャスト | 選出する | 自動で検出 | 10秒/40秒 | イーサネット |
NBMA(Non Broadcast Multiple Access) | 選出する | 手動で設定 | 30秒/120秒 | フレームリレー |
ポイントツーマルチポイント | 選出しない | 30秒/120秒 | 自動で検出 | |
ポイントツーマルチポイント (ノンブロードキャスト) |
選出しない | 30秒/120秒 | 手動で設定 | |
ポイントツーポイント | 選出しない | 10秒/40秒 | 自動で検出 | PPP、フレームリレー |
これらのネットワークタイプの特徴についてもう少し細かく見ていきましょう。
ブロードキャスト
複数のルータと接続していて、ブロードキャストをサポートしているネットワークです。
ブロードキャスト宛やマルチキャスト宛に1つのメッセージを送信すれば、そのネットワークに接続している
複数のルータにメッセージが送信可能なネットワークです。
この場合、マルチキャストで送信されるHelloパケットにより、ネイバーを自動で検出することができます。
複数のルータと接続しているマルチアクセスとなるため、DRやBDRが選出されます。
イーサネットはデフォルトでこのネットワークタイプとなります。
NBMA(Non-Broadcast Multiple Access)
NBMA(Non Broadcast Multiple Access)は、複数のルータと接続しているもののブロードキャストをサポートしていないネットワークです。
フレームリレーのようなネットワークがこれに当たります。
このモードの場合、Helloパケットを送信しなくなります。Helloパケットが送信できないため、ネイバーの自動検出ができません。
自動で検出することができないため、あらかじめルータにネイバーのIP アドレスを手動で登録しておく必要があります。
隣接ルータとの関係がFullステートになるまでにいくつか状態を遷移していましたが、NBMA環境でのみ、Attemptというステートがあります。
手動設定されたネイバーにHelloパケットをユニキャストで送信していますが、まだ何も受信してない状態です。
ここからInit、2-Wayと進んでいきます。
レイヤ2 のカプセル化をフレームリレーに設定した物理インターフェイスや、ポイントツーマルチポイントサブインターフェイスの場合、
デフォルトでこのタイプとなります。
ポイントツーマルチポイント・ポイントツーマルチポイント(ノンブロードキャスト)
1対多で接続しているネットワークです。フレームリレーなどのネットワークにおいて、
ブロードキャストをサポートする場合とサポートしない場合でタイプが分けられています。
ポイントツーポイント
1対1で接続しているネットワークです。カプセル化をPPPにしたインターフェイスや
ポイントツーポイントサブインターフェイスは、このタイプとなります。
ブロードキャストやポイントツーマルチポイントのようなタイプをサポートしているネットワークの場合は、
マルチキャストアドレスで送信されるHelloパケットによりネイバーの自動検出ができます。
マルチアクセス環境ではDR、BDRの選出が必要ということになります。
インターフェイスのカプセル化のタイプによってデフォルトのネットワークタイプが決まっていますが、
必要に応じて変更することが可能です。また、ネットワークタイプによってHelloインターバルとDeadインターバルが異なるので、
変更の際に注意してください。
今回のまとめ
このように、OSPFでは接続しているインターフェイスの規格やレイヤ2のプロトコルなどによりネットワークタイプがいくつかに分けられています。
しかし、フレームリレーなどは現在ではほとんど使用されていないプロトコルのため、実環境では特に意識することも無いでしょう。
ただ、試験ではまだまだこういった細かい部分も聞かれる可能性があるため、それぞれのネットワークタイプの特徴を
押さえておく必要があります。
■今回のポイント
OSPFのネットワークタイプには以下の5種類がある
・ブロードキャスト
・NBMA(Non-Broadcast Multiple Access)
・ポイントツーマルチポイント
・ポイントツーマルチポイント(ノンブロードキャスト)
・ポイントツーポイント
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