【CCNP解説_OSPF編 11】コストの計算方法とコストの変更
コストの計算方法とコストの変更
これまではOSPFの基本的な動作を見てきましたので、次はそれ以外のOSPFの特徴や
機能について見ていきましょう。
コスト
5種類のパケットをやり取りし、LSDBが更新されると、ダイクストラのアルゴリズムを使用してSPFツリーを作成します。
ダイクストラのアルゴリズムは、各ルータを起点として宛先ネットワークへ向かうために使用するインターフェイスの
コストの和から最短の経路を計算するアルゴリズムです。このアルゴリズムを使用して、SPF ツリーを作成します。
【CCNP解説_OSPF編 1】OSPFの特徴で述べたように、コストの計算はデフォルトの場合、
10の8乗 ÷帯域幅(bps)で各インターフェイスのコストが算出され、宛先ネットワークへの各インターフェイスの値を加算します。
例えば、次の図のような構成の場合、各ルータのインターフェイスがFastEthernetとすると、インターフェイスのコストは1となります。
10.0.0.0/24 までに経由するインターフェイスは3 つとなるため、Router1から10.0.0.0/24 へのコストは3 となります。
等コストロードバランシング
OSPFには等コストロードバランシングの機能があります。
以下の図のような構成の場合、Router1からRouter3経由の経路はGigabitEthernet(1Gbps=10の9乗bps)
なので10の8乗÷10の9乗でコストが0.1となりますが、OSPFのコストの値は整数値のため、切り上げされコスト1となります。
その結果、10.0.0.0/24 への経路はFastEthernetのインターフェイスを通過するRouter2を経由する場合もRouter3を経由する場合も
コストの和は3 となります。
宛先ネットワークまでのコストの和が等しいため、Router1のルーティングテーブルには、
10.0.0.0/24宛のエントリが2つ登録されることになります。パケットを転送する際には、デフォルトでフローごと(宛先ごと)に
2つの経路に分散させて転送することになります。これを等コストロードバランシングといいます。
コストの変更
デフォルトのコストの計算では、100Mbps以上の帯域幅の場合コストが全て1となってしまいます。
先ほどの図のように、GigabitEthernetもFastEthernetも同一コストとなってしまうため、等コストと見なされてしまいます。
コストに差を設けて、帯域幅の大きい方の経路を優先させたい場合は①手動でインターフェイスのコストを設定する、②計算に使用
する分子の値を変更する、③コストの計算に用いられる帯域幅の値を変更する、といった3通りの方法があります。
今回のまとめ
OSPFでは帯域幅から算出されたコストの合計値を基に最適経路を計算し求めています。
コストの計算式は10の8乗÷帯域幅(bps)で求められることを覚えておきましょう。
また、コストの値は整数値となるため、1より小さい値は全てコスト1となってしまうことも合わせて覚えておくと良いでしょう。
そのため、FastEthernetとGigabitEthernetのコストは実際の帯域幅が異なるのにデフォルトではコストが変わりません。
差を設けたいときにはコスト値の手動変更などをする必要があります。
■今回のポイント
・コストの計算式はデフォルトの場合10の8乗÷帯域幅(bps)で求められる
・宛先ネットワークまでのコストの合計値が最も小さい経路が最適経路としてルーティングテーブルに登録される
・OSPFには等コストロードバランシングの機能がある
・コストに差を設けるには以下の3通りの方法がある
①手動でインターフェイスのコストを変更する
②計算に使用される分子の値を変更する
③計算に使用される分母の値(=帯域幅)を変更する
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