【CCNP解説_OSPF編 10】ネットワーク変更通知の例
ネットワーク変更通知の例
これまでどのルータがDRやBDRに選出されるかについて見てきました。
今回は実際に障害などでネットワークに変更が生じたときにどのように
アップデートが送信されていくかについて見ていきましょう。
障害によるネットワークの変更通知
障害やネットワークの新規追加など、ネットワークに変更があった場合は次の図のように動作します。
図に沿って流れを見ていきましょう。
①Router2に接続しているネットワークに障害が発生し、その変更を伝えるためにLSUパケットを送信します。
このときパケットが送信されるのは、全てのルータではなく左側のネットワークのDR とBDRのみです。
今回の場合はRouter2自身がBDRのため、DRのみにLSUパケットを送信します。
その際の宛先IPアドレスは、DR・BDR宛を表すマルチキャストアドレスである224.0.0.6を使用します。
②LSUパケットを受け取ったRouter3(DR)は、LSUパケットを同一ネットワーク内の全ルータに送信します。
宛先IP アドレスは、全OSPFルータ宛を表すマルチキャストアドレスである224.0.0.5を使用します。
③Router3は右側のネットワークではBDRであるため、LSUパケットを受け取ると
宛先IP アドレス224.0.0.6を指定して右側のネットワークのDR へ送信します。
④ LSUパケットを受け取ったRouter4(DR)は、宛先IP アドレス224.0.0.5を指定して
LSUパケットを同一ネットワーク内の全ルータに送信します。
こうして全ルータにLSUパケットが届きます。受け取ったルータはLSDBを更新して
SPFツリーの再計算を行い、ルーティングテーブルを更新します。
このとき、各ルータはLSUパケットを受け取った後に確認応答としてLSAckパケットを返します。
LSAckパケットが返ってこなかった場合、DRは再度LSUパケットを送信するため、送信漏れを防ぎ確実に届けることができます。
BDRは変更を検知したルータからLSUパケットを受け取った後、DRからもLSUパケットを受け取ります。
DRからLSUパケットが届かなかった場合、DRがダウンしたと見なしBDRがDRとして動作するようになります。
今回のまとめ
今回は実際に障害が発生した際に送信されるアップデートの流れを見ていきました。
DRへと一度情報を送り、必ずDRを経由して同一ネットワーク全体へと送信される流れが
分かったかと思います。
図にも示した通り、OSPFはパケットを「DR・BDR宛」と「全OSPFルータ宛」という2つの宛先を
使い分けて送信しています。そのためEIGRPなどの他のプロトコルとは異なりマルチキャストアドレス
が2つ用意されているんですね。
なお、Helloパケットは同一ネットワーク内の全ルータへと送りネイバー関係を築くため、224.0.0.5
が使用されています。このこともあわせて覚えておきましょう。
■今回のポイント
・OSPFでは2 種類のマルチキャストアドレスを使用しパケットの送受信を行っている
224.0.0.5…全OSPFルータ宛て
224.0.0.6…DR・BDR宛て
・Helloパケットは224.0.0.5を使用しネットワーク内の全OSPFルータへと送信している
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