【独学CCNA】016.オートネゴシエーション
CCNA対策講座
本連載では、シスコ技術者認定資格であるCCNA合格を目指して、試験範囲の解説や問題演習などを扱っていきます!
今回はオートネゴシエーションについて解説します。
- オートネゴシエーションとは?
- オートネゴシエーションの仕組み
- オートネゴシエーションの注意点
- Cisco機器での設定
- まとめ
- 確認問題
オートネゴシエーションとは?
LANで用いられるEthernetでは様々な通信規格が用いられています。
10BASE-T、100BASE-TX、1000BASE-Tなど、機器のポートによって対応している規格が違います。
また、通信規格に加えて半二重通信/全二重通信という通信モードの違いもあります。
機器同士を接続し、通信を行う際はこういった様々な規格を相互にあわせないと、うまく通信が出来なくなってしまいます。
この機器同士の通信規格、通信モードなどを合わせてくれるのがオートネゴシエーションです。
オートネゴシエーションは、Ethernetのポートで使用する通信規格や通信モードを自動で判別し、適切なものを選択してくれる機能です。
OSI参照モデルで言うところの物理層に該当する機能になります。
オートネゴシエーションの仕組み
Ethernetのポートを持つ機器同士をUTPケーブルで接続すると、ケーブルをつないだ時点で「FLP(Fast Link Pulse)バースト」と呼ばれる特殊なパターンの信号を送信して、お互いがどの通信モードやプロトコルをサポートしているのかを情報交換します。
お互いに相手がサポートしている通信規格がわかったら、自分がサポートしている規格と照らし合わせ、両方がサポートしている規格の中で一番優先順位の高いものを通信方式として採用します。
オートネゴシエーションの注意点
オートネゴシエーションは非常に便利ですが、注意すべきポイントもあります。それが、隣接する機器の両方でオートネゴシエーションを設定する必要がある、という点です。
例えば片方の通信モードを固定で全二重に、その対向のポートをオートネゴシエーションに設定した場合、自動的に半二重通信に設定されます。その結果、通信が低速になったり通信自体が不安定になったりしてしまいます。
オートネゴシエーションはFLPという信号を送信していますが、通信モードを固定に設定したポートからはFLPは送信されません。オートネゴシエーションに設定したポートでは、対向からFLPを受け取れない場合、自動で半二重を選択するように決まっています。
そのため、固定側は全二重、オートネゴシエーション側は半二重の設定になり、通信が不安定になるわけです。場合によっては全く通信ができなくなることもあります。
Cisco機器での設定
Cisco IOS でのオートネゴシエーションの設定を確認してみましょう。
※Cisco機器のコマンドについては、連載の中で扱っていきますので今回はなんとなく見ておいていただければOKです!
もっと機器に触れる様になってから改めて振り返ってみてください。
最近のIOSではデフォルトでオートネゴシエーションが有効になっています。
まずはインターフェースのデフォルトの状態を確認してみます。
GigabitEthernet0/0 is administratively down, line protocol is down
Hardware is iGbE, address is 5254.0006.616f (bia 5254.0006.616f)
MTU 1500 bytes, BW 1000000 Kbit/sec, DLY 10 usec,
reliability 255/255, txload 1/255, rxload 1/255
Encapsulation ARPA, loopback not set
Keepalive set (10 sec)
Auto Duplex, Auto Speed, link type is auto, media type is RJ45
~省略~
このように、デフォルトではDuplex(全二重か半二重か)とSpeed(ポートの速度)がAuto、オートネゴシエーションに設定されています。
変更する際は、duplexコマンドとspeedコマンドを使用します。
まずはDuplexを全二重に、Speedを1000に固定してみます。
Router(config-if)#speed 1000
Router(config-if)#duplex full
Router(config-if)#end
Router#
先程と同じように状態を確認してみましょう。
GigabitEthernet0/0 is administratively down, line protocol is down
Hardware is iGbE, address is 5254.0006.616f (bia 5254.0006.616f)
MTU 1500 bytes, BW 1000000 Kbit/sec, DLY 10 usec,
reliability 255/255, txload 1/255, rxload 1/255
Encapsulation ARPA, loopback not set
Keepalive set (10 sec)
Full Duplex, 1Gbps, link type is auto, media type is RJ45
~省略~
デフォルトではどちらもAutoでしたが、現在はそれぞれFull、1Gbpsに変更されているが確認できます。
今度はAutoに戻す、つまりオートネゴシエーションを有効にしてみましょう。
Router(config-if)#speed auto
Router(config-if)#duplex auto
Router(config-if)#end
Router#
同様に状態を確認してみます。
GigabitEthernet0/0 is administratively down, line protocol is down
Hardware is iGbE, address is 5254.0006.616f (bia 5254.0006.616f)
MTU 1500 bytes, BW 1000000 Kbit/sec, DLY 10 usec,
reliability 255/255, txload 1/255, rxload 1/255
Encapsulation ARPA, loopback not set
Keepalive set (10 sec)
Auto Duplex, Auto Speed, link type is auto, media type is RJ45
~省略~
設定がデフォルトの状態と同じようにそれぞれAutoになっているのが確認できました。
機器にオートネゴシエーションや速度、Duplexの設定を施す際は対向の機器と食い違わないよう気をつけて設定してください。
まとめ
- オートネゴシエーションは、通信規格や通信モードを自動で判別して適切なものを選択してくれる機能。
- オートネゴシエーションを使用する場合、接続した機器双方で有効にする。
- Cisco機器ではspeed/duplexコマンドで設定する。
確認問題
以下の選択肢から正しいものを選んでください。
- Cisco機器ではauto-negotiationコマンドでオートネゴシエーションの設定を行う。
- 片方の機器でオートネゴシエーションが有効になっていれば、両方の機器で適切な設定を選んで通信する。
- オートネゴシエーションが有効である機器間で扱える通信方式に違いがある場合、双方で扱える通信方式の中で優先順位の高いものを選択する。
今回はオートネゴシエーションについて解説しました。
次回はOSI参照モデルのネットワーク層の概要を解説します。