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【CCNP解説_OSPF編 6】DRとBDRの選出とメリット
2021.04.30
Lv2

【CCNP解説_OSPF編 6】DRとBDRの選出とメリット

DRとBDRの選出とメリット


OSPFはこれまで説明したやり取りを行いFullステートまで遷移していきますが、
スイッチに複数のルータが接続されているイーサネットネットワークのような
マルチアクセス環境の場合、全てのルータと個々にLSAを交換していては
ルーティングプロトコルのトラフィックが増えてしまいます。

そこでOSPFではDRBDRという役割のルータを選出し、LSUパケットなどの
トラフィック量を軽減する仕組みが取られています。

その動作や選出方法について見ていきましょう。


DRとBDR選出のメリット

以下の図のような構成では、6台のルータ間それぞれで情報交換を行うとなると、
全体で15のアジャセンシーが構築されることになります。

そのため、トポロジの変更などで各ルータが個々にLSUを送信することになってしまうので、
トラフィックが増えてしまいます。

そこでアジャセンシーの関係を全ルータでなく一部のルータに限定することで、
LSUのトラフィック量を減らす
ことができます。

アジャセンシーを減らすために、マルチアクセス環境では
代表となるルータであるDR(Designated Router)と、
そのバックアップとなるルータであるBDR(Backup Designated Router)を選出します。
それ以外のルータは、DROtherとなります。

DRは全ルータとアジャセンシーを築いてそれぞれのルータのLSAを収集し、
集めた情報を全ルータへと送信します。そうすることによって各ルータは
それぞれ全てのルータと1対1でアジャセンシーを築かなくても、
DRから全てのルータのLSAの情報を得ることができ、
LSA交換の効率がアップしトラフィック量も減らすことができます。

BDRはDRがダウンした際の予備で、DRがダウンするとBDRが代わりにDRとして動作をします。
そのためBDRも全ルータとアジャセンシーを築きます。

DRとBDRを選出することで、以下の図のように完全な隣接関係が15から9に減ります。

アジャセンシーは、DRとBDRとのみ結ぶことになります。つまりFullステートと
なるのはその2台とのみ
になります。

DROther同士はHelloパケットでお互いを認識していてネイバー関係となっていますが、
直接LSAの交換は行わないため、2-Wayステートから先に進まずアジャセンシーにはなりません。


今回のまとめ

今回はDRとBDRが選出されるメリットについて解説しました。
イーサネットのように、同一ネットワーク内に複数のルータが存在することができる環境では、
ルータ同士が1対1で情報交換を行うのではなく、リーダーとなるルータ(DR)を選出して、
そのリーダーに情報をまとめてもらう&リーダーが全体に情報を配布する、という仕組みが
取られています。

その方がルータの台数が多くなった時に、1対1で交換するより格段に効率が良くなります。
DRやBDRが「なぜ」選出されるのか、また選出された際のメリットも合わせて覚えておきましょう。


 ■今回のポイント

 ・イーサネットのような環境ではDRとBDRが選出される
 ・DRが他のルータの情報の収集役となり、情報を一手にかき集める
 ・そのかき集めた情報をDRが他のルータへ配布する
 ・そうすることでルータ間でのやり取りの回数を減らすことができ、格段に効率が良くなる


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