Infra Engineer

【独学CCNA】087.トランキングプロトコル
2022.03.31
Lv1

【独学CCNA】087.トランキングプロトコル

本連載では、シスコ技術者認定資格であるCCNA合格を目指して、試験範囲の解説や問題演習などを扱っていきます。
今回はトランキングプロトコルについて説明します。

  • トランキングプロトコルってどんな時に必要?
  • ISL
  • IEEE 802.1Q
  • ネイティブVlan
  • まとめ

トランキングプロトコルってどんな時に必要?

前回までの記事でVlanについて学んできました。
前回の記事内でも少し話しましたが、一度トランクポートを通った通信のVlanをどうやって見分けるのでしょうか。通信がトランクリンク内を通る際に、所属するVlanの情報を保持しておく必要があります。その情報の保持の方法をトランキングプロトコルと呼びます。
トランキングプロトコルは大きく2種類の方法があるので、その2つについて学んでいきましょう。

ISL

一つ目はISLです。
ISLはCisco独自のプロトコルです。そのためCisco製品同士の場合にのみ使用することができます。
本来のフレームのどこかに情報を挿入するのではなく、フレームの両端にISLの情報を加えます。そのため、本来のEthernetフレームに影響を与えません。トランクリンクを通る際にカプセル化をする形です。

フレームの先頭に26バイトのISLヘッダ、末尾に4バイトのISL FCSが付きます。

そのため、フレームの最大サイズは1548バイトとなります。(Ethernetフレームの最大1518 + 26 + 4)

IEEE 802.1Q

二つ目はIEEE 802.1Qです。
こちらは標準化されたプロトコルなので、特に製品のベンダーを気にすることなく使用できます。
Ethernetフレームの送信元MACアドレスとタイプの間にVlanタグと呼ばれるタグを挿入します。タグを挿入することからタギングプロトコルと呼ばれることもあります。
タグ付け(タギング)を行った後にEthernetフレーム内のFCSを再計算します。そのため、このトランキングプロトコルによって増えるバイト数はタグの4バイトのみです。

よってフレームの最大サイズは1522バイトとなります。(Ethernetフレームの最大1518 + タグ4)

ネイティブVlan

2つのトランキングプロトコルを紹介しましたが、追加でネイティブVlanというものを紹介します。
これもトランクリンクを通った通信のVlanを見分ける方法なのですが、トランキングプロトコルとは少し異なります。
データをもともとのEthernetフレームのままトランクリンクを通してしまうというものです。そんなことをしたらどのVlanの通信かわからなくなりそうですが、問題ありません。なぜなら「トランキングプロトコルの施されていないそのままのEthernetフレームがトランクリンク内を通ってきた場合には特定のVlanの通信として扱う」という約束事を決めておくことができるからです。

この、なにもVlanの情報がないままトランクリンクを通ってきたフレームをどのVlanとして扱うのかをネイティブVlanといいます。
トランクリンクの両側の機器でネイティブVlanをそろえておく必要があります。

トランクリンク内を通るVlan通信のなかで、もっともトラフィックの多いVlan通信をネイティブVlanに設定しておくことでトラフィックの節約になります。
デフォルトではネイティブVlanは1となっていることが多いです。

まとめ

  • ISLはCisco独自のトランキングプロトコル。カプセル化を行う。
  • IEEE 802.1Qは標準化されたトランキングプロトコル。タグ付けをするのでタギングプロトコルとも呼ばれている。
  • ネイティブVlanはトランキングプロトコルの加工がない通信をどのVlanとして扱うかを決めておく設定

今回はトランキングプロトコルについて説明しました。
次回はVlan間ルーティングの解説をします。

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当連載を執筆している講師陣が所属するITスクールSAK

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