【独学CCNA】060.フローティングスタティックルート
ゼロからのCCNA独学講座
本連載では、シスコ技術者認定資格であるCCNA合格を目指して、試験範囲の解説や問題演習などを扱っていきます。
前回はルーティングテーブルの見方について説明しました。
今回はフローティングスタティックルートについて説明します。
- フローティングスタティックルートとは
- フローティングスタティックルートの設定
- まとめ
- 確認問題
フローティングスタティックルートとは
フローティングスタティックルートとは、2点間の正規経路が通信障害を起こしたときに機能するようにしてあるバックアップ経路のことです。
例をあげてどういったものか説明していきます。
普段はRouterAとRouterBのみを利用し、以下の経路(赤)で通信を行っている2台のPCがあるとします。
下図の箇所に障害が起こってしまった際、RouterAを通して通信が継続出来るようにRouterCを経由するバックアップの経路(緑)を用意しておきます。
これをフローティングスタティックルートと呼びます。
なおこのルート情報は、正規経路が使用できなくなった場合にのみ、RouterAのルーティングテーブルに表示されます。
フローティングスタティックルートの設定
それではフローティングスタティックルートはどのように設定すればよいのでしょうか。
フローティングスタティックルートは「アドミニストレーティブディスタンス(AD)」値を正規経路よりも高い値に変更することで設定できます。
もしダイナミックルーティングを利用している場合は、利用しているプロトコルのAD値よりも高い値に設定すればよいわけです。
アドミニストレーティブディスタンス値はスタティックルート設定コマンドで設定することができます。
この値は省略可能で、省略するとAD値はデフォルトの1となります。
- スタティックルート設定コマンド
- (config)#ip route <宛先ネットワーク> <サブネットマスク> [ ネクストホップアドレス | インターフェース ] [AD値]
なお、AD値の最大値は255ですが、AD値255を設定した場合は到達不能を示すことになります。
したがって、ルーティングテーブルにインストールされないことになってしまいます。
まとめ
- フローティングスタティックルートとは、2点間の正規経路が通信障害を起こしたときに機能するようにしてあるバックアップ経路である。
- フローティングスタティックルートは、スタティックルート設定コマンドにてAD値を正規経路よりも高い値にすることで設定できる。
- スタティックルート設定コマンドで設定したスタティックルートのデフォルトのAD値は1である。
確認問題
次のうち正しい選択肢を選んでください。
- スタティックルートはデフォルトのAD値が1となる。
- フローティングスタティックルートは、バックアップルートのAD値を正規ルートのAD値より小さくすることにより実現する。
- 正規経路のAD値が254の場合にフローティングスタティックルートを設定するには、AD値に255以上を採用するとよい。
今回はフローティングスタティックルートについて説明しました。
次回はOSPFについて説明します。