【独学CCNA】055.ダイナミックルーティング
ゼロからのCCNA独学講座
本連載では、シスコ技術者認定資格であるCCNA合格を目指して、試験範囲の解説や問題演習などを扱っていきます。
前回はフローティングスタティックルートについて説明しました。
今回はダイナミックルーティングについて説明します。
- ダイナミックルーティングとは
- ルーティングプロトコル
- まとめ
- 確認問題
ダイナミックルーティングとは
スタティックルーティングは手動で経路をルーティングテーブルに登録していく方法でした。
それに対し、ダイナミックルーティングはルータ同士がルーティングに必要な情報をやり取りして、自動で経路をルーティングテーブルに登録しています。
そのため、障害等が発生しネットワークの状態に変化があった場合その情報が他のルータに伝えられ、最適な経路に自動で切り替えることも出来ます。
便利なダイナミックルーティングですが、ルータ同士がルーティングに必要な情報のやり取りをすることでその分ルータ間の帯域を消費してしまいます。
また、交換した情報から最適な経路を割り出すための計算などをルータで行う必要があるため、CPUやメモリに負荷がかかってしまいます。
さらに、設定ミスなどにより誤った情報を伝達してしまうと、ネットワーク全般に影響を与えてしまう恐れがあります。
ダイナミックルーティングにはこのようなデメリットがありますが、大規模なネットワークではダイナミックルーティングを使用するほうが、管理の手間の軽減や耐障害性の向上といった面でメリットが多くなります。
ルーティングプロトコル
ルータで情報をやり取りするためには、どのような情報をどのように交換するか等のルールを用意しておく必要があります。
このルールのことをルーティングプロトコルといいます。
ルーティングプロトコルには複数の種類があります。以下にルーティングプロトコルの例を挙げます。
- RIP(Routing Information Protocol)
- OSPF(Open Shortest Path First)
- EIGRP(Enhanced Interior Gateway Routing Protocol)
- BGP(Border Gateway Protocol)
- IS-IS(intermediate System to Intermediate System)
CCNAの試験ではOSPFについて深く問われます。
他のルーティングプロトコルについては詳しく知っておく必要はありませんが、それぞれどのようなプロトコルなのか、簡単な特徴程度は知っておく必要があります。
詳しくは後の連載で説明します。
IGPとEGP
ルーティングプロトコルはIGP(Interior Gateway Protocol)と、EGP(Exterior Gateway Protocol)の2種類に大きく分類されます。
IGPはAS(Autonomous System、自律システムとも)内で経路情報を交換するためのルーティングプロトコルです。
ASはある組織内の共有ポリシーによって運用されるルータやネットワークの集合体を指します。
RIP、OSPF、EIGRP、IS-IS等がIGPに分類されます。
一方、EGPは異なるAS間で経路情報を交換するためのルーティングプロトコルです。
現在主流のルーティングプロトコルでEGPに分類されるのはBGPのみです。
まとめ
- ダイナミックルーティングはルータ同士がルーティングに必要な情報をやり取りし、自動で経路をルーティングテーブルに登録する方法である。
- スタティックルーティングと比べて、ダイナミックルーティングはルータ間の帯域を消費する・CPUやメモリに負荷がかかるといったデメリットもある。
- ルーティングに必要な情報をルータ間でやり取りする際のルールのことをルーティングプロトコルという。
- ルーティングプロトコルはIGPとEGPの2種類に大きく分類される。
確認問題
次のうち正しい選択肢を選んでください。
- ダイナミックルーティングを用いると、ネットワークで障害が起こった際、ルータが自動で通信可能な最適経路に切り替える。
- スタティックルーティングに比べて、ダイナミックルーティングは手動で経路を登録する必要があり、手間がかかる。
- ルーティングプロトコルは、ルーティングテーブルに手動で経路を登録する際のルールである。
- BGPはAS内で経路情報をやり取りするためのルーティングプロトコルで、IGPに分類される。
今回はダイナミックルーティングについて説明しました。
次回はルーティングプロトコルについて説明します。