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【独学CCNA】011.イーサネットLANにおけるデータの送受信
2021.07.23
Lv1

【独学CCNA】011.イーサネットLANにおけるデータの送受信

CCNA対策講座

本連載では、シスコ技術者認定資格であるCCNA合格を目指して、試験範囲の解説や問題演習などを扱っていきます。
前回はMACアドレスについて説明しました。
今回はMACアドレスを使ったイーサネットのデータの構造について説明します。

  • イーサネットヘッダ
  • フレームフォーマット
  • 通信の流れ
  • まとめ

イーサネットヘッダ

イーサネットではMACアドレスを使用して通信相手を識別するため、
データをやり取りする際には宛先や送信元の情報としてMACアドレスをデータのどこかにつける必要があります。
カプセル化とTCP/IPで説明したように各層ではその層で必要なデータがヘッダ情報として付与されます。

イーサネットはOSI参照モデル第1層(物理層)と第2層(データリンク層)を網羅しています。
カプセル化とは上の階層から受け取ったデータにヘッダ情報を付与していくことでした。
イーサネットは第3層から受け取ったデータ(パケットといいます)に、MACアドレスが格納されたL2ヘッダ(イーサネットヘッダ)を付与しカプセル化しています。
また、ヘッダに加えてデータの後ろに、整合性をチェックするために使われるトレーラと呼ばれる情報も付与します。
こうして作成されたデータをフレームと呼びます。

フレームフォーマット

イーサネットにはいくつかのフレームの構造(フレームフォーマット)があります。これは規格によって異なります。
イーサネットの規格にはイーサネットLANのケーブルと規格3で紹介したように
EthernetⅡ形式(DIX)やIEEEで策定されたIEEE802.3などがありますが、一般的に使用されているのはEthernetⅡ形式です。
ここではEthernetⅡ形式についてとりあげます。
EthernetⅡのフレームフォーマットは以下のようになります。

フレームフォーマット

・プリアンブル
データ本体に先立って送信される、1と0の決まったパターンの信号です。
プリアンブルを受信すると、受信側はデータを受け取る準備を開始します。

・宛先MACアドレス
通信する宛先のMACアドレスとなります。

・送信元MACアドレス
通信する送信元のMACアドレスとなります。

・タイプ
上位層であるネットワーク層のプロトコルを表す値が入っています。
例えばネットワーク層のプロトコルで一般的に使用されるIPなら0x0800といった値が入ります。
フレームを受け取った相手はこの値を確認することでネットワーク層のどのプロトコルを使用しているのか、
つまりデータ部分に入っているものをどのプロトコルとして扱えばよいかがわかります。

・データ
データ部分にはネットワーク層から受け取ったデータが入っています。IPパケットなどです。
最小46バイト~最大1500バイトのデータを格納します。

・FCS
受信したフレームに誤りがないかチェックするために使われる値が格納されます。

イーサネットフレームの最大サイズは1518バイトとなります。
それぞれのサイズを加算すれば最大サイズが出せるのですが、このときプリアンブルは含めないためです。

LANではEthernetⅡ形式が多くCCNAの試験でもそちらのフレームフォーマットの方が問われることが多いのですが、
IEEE802.3フレームフォーマットが全く使われていないわけではありません。
ネットワーク内を流れているパケットの中身をみることができるツール(パケットキャプチャといいます)などで見てみると
IEEE802.3が流れていることが確認できることがあります。
例えばSTP(CCNAの範囲内なので詳細は後の連載で説明します)というプロトコルのフレームなどです。

通信の流れ

最初に「これからデータが送信されてくること」を宛先に通達するためにプリアンブルを挿入します。
次に宛先MACアドレスのフィールドに通信したい宛先のMACアドレスを格納し、
送信元MACアドレスのフィールドに自身のMACアドレスを格納します。
そしてタイプフィールドには、例えばネットワーク層のプロトコルで一般的に使用されるIPを表す0x0800といった値が格納されます。
データ部分には第3層から受け取ったパケットが入り、最後のFCSにはエラーチェック用のCRCという値が格納されます。
このようなフレームが送信元から送信されることになります。

通信の流れ

フレームを受け取った相手は、エラーチェックをしてエラーがなく、そのフレームが自身宛であれば処理します。
エラーがあった場合自身宛でなかった場合破棄されます。

まとめ

・イーサネットは第3層から受け取ったパケットにMACアドレスが含まれるイーサネットヘッダとエラーチェック用のトレーラを付加する。
・EthernetⅡフレームはプリアンブル宛先・送信元MACアドレスタイプデータFCSで構成される。
・受け取ったフレームがエラーチェックの結果エラーがなく自身のMACアドレス宛であれば処理する。そうでなければ破棄する。

確認問題

以下の選択肢から正しいものを選んでください。

  1. 宛先MACアドレスが自身宛ではないフレームを受信したとき、そのフレームを宛先に再送する。
  2. イーサネットは第4層から受け取ったデータにL3ヘッダを付与してカプセル化する。
  3. FCSにはエラーチェック用の値が格納される。
解答・解説
答え:3

1) 宛先が自分宛ではないフレームを受信した際には、そのフレームを破棄します。
2) イーサネットは第3層から受け取ったデータにL2ヘッダを付与します。
3) 正解です。FCSにはエラーチェック用の値が格納されます。


今回はイーサネットフレームのフォーマットについて説明しました。
次回はイーサネットLAN内の機器について説明します。

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当連載を執筆している講師陣が所属するITスクールSAK

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