【独学CCNA】018.ネットワーク層の機能②
CCNA対策講座
本連載では、シスコ技術者認定資格であるCCNA合格を目指して、試験範囲の解説や問題演習などを扱っていきます!
今回は、ネットワーク層の機能解説の2回目になります。
- ネットワーク層のプロトコル
- ルーティング
- IPフラグメンテーション
- まとめ
- 確認問題
- IPアドレスの定義
- ルーティング
- IPフラグメンテーション
- ルーティングは多数の経路の中から最適な経路を選択し、パケットを送り届ける機能。
- ルーティングでは、各機器が次に転送する先を判断しパケットを転送する。
- IPフラグメンテーション(フラグメント)はMTUに合わせてパケットを分割する機能。
- IPフラグメンテーションは機器に負荷がかかるため、禁止されていることも多い。
- ルーティングは、L2の機器がヘッダから宛先を判断して転送する機能である。
- IPフラグメンテーションはIPヘッダにフラグを設定し、パケットの転送可否を設定する機能である。
- パケットを受け取ったL3機器がIPヘッダから宛先の情報を取得し、次どこへ転送するかを判断している。
ネットワーク層のプロトコル
前回説明したとおり、ネットワーク層のプロトコルはほとんどがIPです。IPの重要な役割として、以下の3つが挙げられます。
前回はIPで定義されているネットワーク層のアドレスであるIPアドレスについて簡単に説明しました。
今回は同じくIPの役割である、ルーティングとIPフラグメンテーションについて説明しましょう。
ルーティング
ルーティングとはネットワーク上の多数の経路の中から最適な経路を選択し、パケットを送り届ける機能です。
離れたネットワーク上の端末同士が通信する際、間にはいくつものネットワークが存在します。送信元から宛先まで到達する際、インターネットのような広大なネットワークを通過する場合、ネットワークは網目状に張り巡らされているため、経路がいくつも存在します。その中から最適な経路を選んでパケットを送り届ける機能がルーティングです。無数のネットワークを繋ぐルータなどのL3機器たちが、流れてきたパケットを見て次どこへ向かえばよいのかを判断してくれます。
IPにおいてのルーティングは、ホップバイホップルーティングと呼ばれる方式を用いています。これは、ネットワーク上に存在するルータ等L3機器が宛先までの詳細な道のりを把握するのではなく、次どこに向かえばよいかだけを把握しルーティングする方式です。ルータはパケットが流れてきたら、パケットが持つ宛先の情報をチェックして次どこへ向かえばよいか判断し、転送します。そしてそれを受け取った次の機器も同様の処理を行います。これを繰り返して、最終的な宛先までパケットを送り届けるわけです。
あくまで次どこへ向かえばよいかだけを把握する、というのがポイントです。
ルーティングの細かい話やCisco機器でのルーティングの扱い、ルーティングで用いられるプロトコルなどについてはのちの記事で解説していきます。
IPフラグメンテーション
データリンク層のプロトコルでは、それぞれ1つのフレームで運ぶことができるレイヤ2ペイロード、つまりパケットのサイズをMTU(Maximum Transmission Unit、最大転送単位)として定めています。MTUはレイヤ2のプロトコルによって異なるので、インターネットを経由して離れた端末同士が通信をしようとした際、異なるMTUが設定された区間を通過する可能性が出てきます。
すると、MTUのサイズが小さい経路と通る場合、転送されてきたパケットの大きさがMTUのサイズを上回っているとそのままでは転送出来ない場合が出てきます。そういったときに行われるのがIPフラグメンテーションです。フラグメントとも言います。
Ethernetの場合はデフォルトのMTUは1500byteです。なので1つのフレームで送信できるIPパケットの大きさは1500byteになります。同じように、PPPoEであれば1492byte、FDDIは4352byteとプロトコルによってMTUのデフォルト値は異なります。なので、図のようにMTUの違う経路を通る必要がある場合、パケットを分割してあげなければなりません。
IPフラグメンテーションでは、流れてきたパケットをMTUのサイズに合わせて分割します。例えば、2000byteのUDPを使用したパケットを1500byteの経路に流す場合、1500byteと520byteの2つのパケットに分割されます。IPヘッダにはフラグメントに必要な情報が含まれていますので、分割したそれぞれのパケットにIPヘッダがつけられます。ですので、500byteに分割された方は20byteのIPヘッダが新しくつけられ、520byteになります。分割されたパケットは、最終的な宛先で元の状態へと再構築されます。
ただし、フラグメントは分割と再構築の処理が複雑で機器に負荷がかかります。なのでフラグメントを使用しないようにするため、ヘッダ内のフラグでDF(Don’t Fragment)ビットを立てて、フラグメントを禁止して通信することも多くなっています。また、フラグメントを避けるための手法としてPath MTU Discovery(経路MTU探索)という技術を使って事前に経路上のMTUを把握し、あらかじめ経路上の最小MTUに合わせたサイズのパケットを作って送信する場合も増えています。
まとめ
確認問題
以下の選択肢から正しいものを選んでください。
今回はネットワーク層の役割について解説しました。
次回からはIPアドレスについて解説していきます。