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【独学CCNA】004.OSI参照モデル
2021.07.16
Lv1

【独学CCNA】004.OSI参照モデル

CCNA対策講座

本連載では、シスコ技術者認定資格であるCCNA合格を目指して、試験範囲の解説や問題演習などを扱っていきます!
前回プロトコルという言葉について説明しました。
今回の記事ではOSI参照モデルというものを紹介していきます。

通信機能の階層化とOSI参照モデル

  • 通信機能は階層化されている
  • OSI参照モデルとは
  • OSI参照モデルの各層の役割

★通信機能は階層化されている
OSI参照モデルについて説明する前に、コンピュータにおける通信機能というものは階層化されて実装されているということを話していきます。

例としてポストに投函された手紙がある会社の〇〇係宛てまで届く過程を階層化して説明してみましょう。

・ポストに届いた手紙をまとめて郵便局まで届ける層。

・郵便局に届いた手紙を、都道府県ごとなど大まかに振り分ける層。

・その大まかに振り分けられたものを各都道府県へ輸送する層。

・各都道府県へ輸送された後、市町村、番地などで細かい振り分けをする層。

・実際に各住所へ配達する層。

・手紙が届いた会社の人間が「〇〇係宛て」「××係宛て」など、その役割ごとにメールを振り分けるという層。

以上のように考えることができます。(もちろんどこで階層を区切るかなどは決まったものではないので別の階層の区切り方をしてもよいでしょう。)

コンピュータ同士の通信ではいくつものプロトコルを組み合わせて使います(プロトコルスタック)。このいくつもあるプロトコルを層ごとに分ける考え方によって、何か機能変更があった際にも、それに関する層だけの仕様変更で済むというメリットがあります。先ほどの具体例を使えば各都道府県へ手紙を輸送する手段が変化しても、他の層への影響がない、同様に「〇〇係宛て」の部分が「××係宛て」に変化しても、輸送手段には影響がないということがわかるかと思います。

いくつかの層のプロトコルを組み合わせて使うという仕組みをプロトコルスタックと呼びます。
プロトコル単体で通信しているのではなく、簡単なプロトコルがいくつもの層組み合わさったプロトコルスタックによって通信は行われていると考えましょう。

★OSI参照モデルとは
次にOSI参照モデルについて話していきます。
OSI参照モデルとは上記で話した通信機能の階層化においてよく使われる考え方です。実際にはTCP/IPというものが広く使われていますが、OSI参照モデルを学んでおくことによりTCP/IPの理解も進むのでまずはOSI参照モデルについて学びましょう。
OSI参照モデルでは通信における階層を7つの層に分けて考えます。
その7つの層とは
・アプリケーション層(第7層)
・プレゼンテーション層(第6層)
・セクション層(第5層)
・トランスポート層(第4層)
・ネットワーク層(第3層)
・データリンク層(第2層)
・物理層(第1層)
の7つです。

先ほども話しましたが、層が分かれていることにより、それぞれの層の役割が明確になります。
層ごとの役割が明確であるために、通信に変更が行われる際にどこの部分を変更すればよいのかが明確になる上、変更が必要ない層はそのまま使い続けることができます。機能変更の際に部分的な変更だけでよく、「いくつものプロトコル全体」を変更しなくて済むということです。とてもメリットがあるのがわかるかと思います。

★OSI参照モデルの各層の役割
OSI参照モデルでは通信機能を7つの層に分けていると書きました。
その7つの層それぞれの役割を見ていきましょう。

・アプリケーション層(第7層)
ユーザーが入力したデータが、ユーザーの想定通りのデータとして扱うことができるようにする層。
例)メールを送信する際、宛先や本文が、しっかり宛先データ、本文データとして扱われるようにする。(逆になったり、別のデータとして捉えられたりしたら正しい通信ができない)

・プレゼンテーション層(第6層)
アプリケーション層でのデータを変換する際のデータの形式を決める層。同じデータでも変換形式が違えば読み取れなくなってしまう。
例)テキストデータの文字コードをJISで扱うか、ASCIIで扱うかを決める。

・セッション層(第5層)
通信のまとまりを管理する層。いろいろなデータがバラバラに送られてくる中で、どこからどこまでが一つの通信であるかを管理してくれる。また通信において一連の流れがある際にその順番も管理してくれる層。

・トランスポート層(第4層)
通信相手にデータが正しく届くように、大きなデータを分割したり、データが届いているかの確認をしたりしてくれる層

・ネットワーク層(第3層)
異なるLAN上でのデータのやり取りの実現のための層。IPアドレスを使用。ルータを介した通信ができるようになる。

・データリンク層(第2層)同一LAN上のデータのやり取りの実現のための層。MACアドレスを使用。ネットワーク層のようにルータを介した通信は扱わない。

・物理層(第1層)
データのやり取りのための物理的な役割の層。電気信号の扱い、コネクタの形状、ケーブルの長さ、ケーブルの種類などを取り決める。

層のことをレイヤとも呼びます。

まとめ

・通信機能は複数の層からなるプロトコルスタックによって実現されている。
・各層ごとに役割が分かれているため、一部の仕様変更が全体に響くことがないというメリットがある。

今回はOSI参照モデルについて説明しました。
次回はカプセル化とTCP/IPについて学んでいきます。

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当連載を執筆している講師陣が所属するITスクールSAK

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