【独学CCNA】002.ネットワークとは
CCNA対策講座
本連載では、シスコ技術者認定資格であるCCNA合格を目指して、試験範囲の解説や問題演習などを扱っていきます!
今回はCCNAに向けて学習していく第一歩として、ネットワークとはなにかをみていきましょう。
ネットワークとは?
私たちは日常的にネットワークを利用しています。スマートフォンでネットを見て、SNSを使い、オンラインゲームを楽しむ。PCやゲーム機、最近ではIoT家電など、様々なものがネットワークに接続しています。では、ネットワークとはそもそも何を表す言葉なのでしょうか?
本来ネットワークとは、「人や物を網状に繋げたものやシステム」を表す言葉です。例えば、地域の人々が交流し連携し合うシステムのことを地域ネットワークと言ったりしますよね。
このネットワークという言葉、ITや情報システムの世界では「コンピュータやネットワーク機器などが相互に接続し、通信できる状態やシステム」を指す言葉になります。
ここで語られている「コンピュータやネットワーク機器」には、サーバやルータ、スイッチといったエンタープライズの世界で出てくる機器はもちろん、私たちが普段使っているPCやスマートフォンなども含まれています。私たちは手元の端末を通じて、ネットワークという大きなシステムに参加しているんですね。
ここで、ネットワークの主な登場人物として以下の3つを覚えておきましょう。
・クライアント
サービスを利用する側のコンピュータや端末のこと。私たちが日常的に使う、インターネットに繋がっているPCなどが該当します。
・サーバ
サービスを提供する側のコンピュータや端末のこと。私たちがWebページにアクセスしたりSNSを使ったりするときは、何らかのサーバからサービスを受けています。
・ネットワーク
クライアントとサーバを繋ぐ通信の経路、道のこと。クライアントとサーバはネットワークを通じてデータをやり取りします。上で説明したとおり、クライアントやサーバも含めたシステム全体のことを言う場合もあります。
また、私たちがネットを通じて様々な通信を行う際によく出てくるインターネットという言葉は、世界中に多数存在しているネットワークたちを相互に接続した、地球規模の通信網のことを言います。簡単に言うと、インターネットはたくさんのネットワークを相互に繋いで出来上がった大きなネットワーク、ということですね。
ネットワーク・インターネットの歴史を簡単に
それでは、ネットワークやインターネットの歴史に少しだけ触れてみましょう。
かなり簡略化して書いていますので、より詳細な内容は各自調べてみてください。
・コンピュータネットワークの始まり
ネットワークとは、先程述べたとおり「コンピュータやネットワーク機器などが相互に接続し、通信できる状態やシステム」を指しています。初期のネットワークは、コンピュータとコンピュータを1対1で相互に接続するところから始まりました。また、そこから発展して複数台の業務用コンピュータを接続して、離れたコンピュータ同士がデータをやり取りできるようになっていきました。
ただし、この当時のデータ通信は、コンピュータをモデムを通して接続し、1対1で回線を専有して通信を行う回線交換方式という効率の悪い方法でした。回線交換方式は、1つ通信が発生すると、それが回線を独占し、それが終了するまでは他の端末は同じ回線を使った通信を行えない方式です。電話回線をイメージしてもらえるとわかりやすいかもしれません。
・ARPANET
1969年頃、アメリカの4つの大学や研究所間を結ぶネットワークが作られました。これがARPANET(アーパネット、Advanced Research Projects Agency NETwork)と呼ばれる、インターネットの元なったネットワークです。
それまでの回線交換方式に対して、ARPANETは世界初のパケット交換方式のネットワークでした。パケット交換とは、送信するデータをパケットという単位に細かく分けて送信し、受信した端末がそれを元のデータに復元する方式です。それまでの回線交換と比べ、経路を専有することなく様々な経路でデータを送り届けることができるパケット交換は、ネットワークに冗長性を持たせ、より強固なネットワークを実現しました。
ちなみに同じく1969年、インターネット上で使われる技術に関する技術仕様を標準化し、公開しているRFC(Request for Comments)の1番が公開されました。RFCは、ARPANETの研究の中で開発された技術をまとめるために使われたプロセスで、RFC 1はIMPと呼ばれるルータの前身にあたる装置とコンピュータ間の通信手順をまとめたものです。
・TCP/IPの誕生
こうして複数の拠点、様々な端末がARPANETを通じて接続し、通信するようになりました。ARPANETでは、NCP(Network Control Protocol)というプロトコルが使われていました。プロトコルとは、通信をする上で必要な手順やデータ形式などを定めたものになります。ARPANET成立後数年すると、ARPANET以外にも様々なネットワークが乱立するようになり、そこでは様々な技術が使われていました。複数のネットワークを相互に接続するためには、プロトコルを統合する必要がでてきます。
複数のプロトコルを統合する、信頼性高い通信プロトコルとして登場したのがTCP/IPです。1974年時点ではまだTCPという1つのプロトコルとして提唱されていました。
その後多数の実験やバージョンアップなどが行われ、1981年にTCP/IPがRFCとして文書化されました。そして1983年には、ARPANETで使われるプロトコルがNCPからTCP/IPに切り替えられました。今も使われているTCP/IPはこうして誕生したんですね。
現在では、一般的なPCやサーバ、ネットワーク機器は大体TCP/IPを実装しており、LAN内の通信ではほぼTCP/IPのみが使われるようになっているなど、世界中に普及しています。
・インターネット(internet)という言葉
internetという言葉は、TCPのRFC内でinternetworkingの省略形としてはじめて登場しました。ARPANETやいくつかのネットワークがTCP/IPを用いて相互に接続するようになったころ、ネットワークを指す言葉としてinternetという固有名詞が使われるようになりました。
現在では一般的に、ARPANETから発展した世界中のネットワークを相互に繋ぐ、巨大なコンピュータネットワークのことをインターネットと呼んでいます。
・ARPANETからインターネットへ
1980年代には、TCP/IPを使ったネットワークが多数構築されました。また、企業や研究所などが構築したネットワークが、ARPANETに接続するようになってきました。こうして、世界的に拡張されたネットワークが、現在のインターネットに発展していったわけです。
こののち、プロバイダによる商用インターネットサービスが始まったり、CERNによるWWW(World Wide Web)の発明など、ネットワーク・インターネットにまつわる話はまだまだ続くのですが、長くなりますのでこのあたりまでにしておきます。
LANとWAN
さて、今一度CCNAで扱うネットワークの話に立ち戻りたいと思います。
ネットワークを分類する用語として、ネットワークを範囲で分類するLANとWANの2つがよくあげられます。
・LAN(Local Area Network)
一企業や家庭、学校など、1つの建物や施設内といったある程度の範囲で利用されるネットワークのことをLANと呼びます。同じ部屋や建物、敷地内にあるPCやサーバなど、比較的狭い範囲にある機器を接続して通信を行うネットワークのことです。
・WAN(Wide Area Network)
WANは、LANと比較して広い範囲におよびネットワークのことを指す言葉です。一般的には、LANとLANを接続する、ISP(インターネットサービスプロバイダ)や回線事業者が管理するネットワークのことを指すことが多いです。
また、インターネットとほぼ同じ意味の言葉として扱われる場合もあります。
LANとWANの違いとして1つあげられるのは、管理・運用する主体の違いです。
LANはネットワークを利用するユーザーが自ら構築・管理・運用します。ネットワーク機器やケーブル類を用意したり、物理的に配線を行ったり各種設定を行ったり、といったことをユーザー自身で行います。
それに対して、WANはISPや回線事業者が管理しています。私たちユーザーは自身でWAN側を構築・管理・運用などすることはなく、ISPと契約して料金を支払いそれを利用します。
また上記の違い以外にも、使っている通信プロトコルの違いなどが挙げられます。
詳しくは、この講座の後半でとりあげます。
まとめ
・ネットワークとは、「コンピュータやネットワーク機器などが相互に接続し、通信できる状態やシステム」のこと。
クライアントとサーバが、ネットワークと通じてデータのやり取りを行っている。
・インターネットとはARPANETから発展した、世界中のネットワークを繋ぐ巨大なコンピュータネットワークを指す。
通信プロトコルとしてTCP/IPが用いられている。
・LANは建物、敷地、家庭など狭い範囲内で利用されるネットワークのこと。
WANはLANとLANを繋ぐネットワークのことを指す場合がある。
今回はネットワーク・インターネットとはなにか、簡単に説明しました。
次回からは本格的にCCNAの内容に入っていきましょう。