Infra Engineer

【CCNA連載】OSI参照モデル①
2020.09.30
Lv1

【CCNA連載】OSI参照モデル①

■OSI参照モデル

前回、プロトコルスタックについて説明しました。
ネットワークで通信を行うにはいくつかの機能が必要であり、役割ごとに階層化してそれぞれに対応するプロトコルを定義
したものです。
今回から説明するOSI参照モデルはその階層化の概念の1つです。

OSI参照モデルとは

 ネットワーク機器のベンダー(メーカーのことです)には様々な会社があります。
それらのベンダーが各社独自のプロトコルで通信を行った場合、ベンダーが異なる機器同士では通信ができなくなります。
様々なベンダーが存在しているにもかかわらず1つのベンダーの機器に統一することは難しく、またネットワークの
発展の妨げとなります。そこで異なるベンダー間でも問題なく通信ができるようにするため、独自仕様ではなく
共通の仕様を策定する必要が出てきました。
 そこでISO(国際標準化機構)によって作成されたがOSI参照モデルです。
ベンダーが異なっていても、PCやネットワーク機器の間で相互に接続ができるようにするための概念です。
そしてその概念に基づいて規定されたプロトコル群がOSIプロトコルなのですが、実際には利用されていません。
後の連載で説明するTCP/IPモデルが事実上の標準となっているからです。
ただOSIプロトコルは使われていませんが、通信の際の基本的な概念としては残っていますので
ここではその概念について説明します。

OSI参照モデルの7つの階層

 OSI参照モデルは通信の際に必要となる機能を7つに分けています。

アプリケーション層

 ユーザが利用するアプリケーション間で通信する際に利用するプロトコルについて規定しています。
メールソフトであればメール用のプロトコル、ファイル共有ソフトであればファイル共有用のプロトコル
といったものが規定されています。

プレゼンテーション層

 通信の際には文字コード(PCのOSによって文字を表すコードにはいくつかあります)などの表現方式について
規定しています。
データを送る際に送信側と受信側のアプリケーションの表現方式が違っていることがあります。独自の方式で
送信してしまっては受信側が処理できなくなります。そうならないように共通の方式に変換し、受け取り側は
共通の方式をそのPCで使用する表現形式に復元するようにします。そうすることで表現方式の違いが
あったとしても通信できるようになります。

セッション層

 通信開始から終了までの一つのかたまりをセッションといいます。この層ではそのセッションの開始から
終了について規定しています。
普段PCを使用しているときを考えてみてください。webブラウザでwebサイトを見ながらメールやメッセージ
アプリを同時に利用していることはよくあると思います。このときWebブラウザのデータがメーラーなどの
他のソフトに届かないよう制御しています。

トランスポート層

 ノード間の通信を制御する機能について規定しています。
インターネット上のWebサイトを見る場合を考えて下さい。皆さんのPCやスマートフォンとWebページが置いてある宛先との間には
無線の中継器をはじめとして様々な機器が存在しています。
その機器を経由している間にデータが欠けてしまうと正常な通信ができません。
トランスポート層では、そうした事態を防ぐための通信の信頼性に関する機能が提供されています。
通信データを欠ける事無く宛先に届けるといった機能です。

ネットワーク層

 複数のネットワークを介して接続している2点間、つまり通信を開始している機器から最終的な宛先までの通信に
ついて規定しています。こういった通信を開始している送信元から最終的な宛先までの機器間のことを
エンドツーエンドといいます。
通信の際には、相手を指定する必要があります。相手を指定するためには相手を識別するための何かが必要で
ネットワーク層ではそうした識別のために必要なプロトコルを規定しています。
また宛先までの最適な経路を決定するための機能が提供されています。

データリンク層

 直接接続しているノード間の通信について規定しています。
 エンドツーエンドの通信を規定しているネットワーク層のプロトコルによって最終的な宛先が識別できますが、
そこへ向かうためにはまず直接接続している最寄りの機器を経由する必要があります。
そしてその機器からまた次の機器へ転送するといったように、直接接続している機器間でデータを転送していき、
それを繰り返して最終的に宛先に届く形となります。
そうした直接接続している機器間で相手を識別したりやり取りする際に必要な機能が提供されています。

物理層

 データを電気信号は光に変えるといった機器と機器を接続するための仕様や機能について規定しています。
ケーブルの種類やその接続口(インターフェイスといいます)の形状などについて規定しています。

このように必要となる機能を階層にわけているため、どこかの層で変更があっても他の層に影響を
与えないようになっています。例えば新しい素材のケーブルなどが開発されたとしても
物理層の仕様に沿って作られていれば、他の層の機能に影響を及ぼすことがありません。