パーティションについて
本記事の対象者
LPIC level1習得を目指す初学者の方
コマンドの基本的な用途について、要点を絞って解説します。
今回の内容
今回は、パーティションについて解説します。
ハードディスクを使用するための過程
Linuxでハードディスクを接続して使用するには以下の過程が必要です。
①デバイスファイルを作成する。(基本的には自動で作成される。)
②ディスク内にパーティションを作成する。
③パーティション内にファイルシステムを構築する。
④ファイルシステムをマウントする。
今回の記事では、②で登場する、「パーティション」とは何なのかについて解説します。
なお、パーティションの実際の作成方法等は別記事で解説します。
パーティションとは
パーティションは日本語に直すと「仕切り」という意味です。
Linuxにおけるパーティションもその意味で、ハードディスクの「論理的な」仕切りのことです。
Linuxでは、ハードディスクにはパーティションを作成する必要があります。
正確には最低ひとつのパーティションが必要です。(ひとつの場合は実質的に分かれていない)
何のためにパーティションを作成するのか
パーティションとは、ハードディスクの論理的な仕切りであることが分かりましたが、何のためにパーティションを分けるのでしょうか。
以下のようなメリットがあげられます。
・異なるファイルシステムとなるので、異なるOSをインストールすることなどが可能。
・システム領域とデータ領域を分けるなどすれば、システムに障害が起こってもデータを守れる。
・障害発生時に、影響をそのパーティションだけにとどめることができる。
・システムやデータに対するバックアップ等の独立的なメンテナンスが可能。
・容量不足の影響をそのパーティションだけにとどめることができる。
上記にあげたようなメリットは、それぞれを覚えずとも「それぞれのパーティションは独立して扱うことが出来る」という抽象化で理解できるかと思います。
パーティションはセットアップの際に決めた設定から変更することができません。(正確には困難です。)
よって、パーティションの割り振りの見積もりを誤ると、ディスクの利用効率が下がることもありますので、慎重に決定する必要があります。
パーティションの種類
パーティションには3つの種類があります。
基本パーティション
ディスクに作成する、基本のパーティションです。
ディスクには最大4つの基本パーティションが作成できます。
それぞれのパーティションごとにファイルシステムを構築します。
例えば、「/dev/sdb3」は2つ目のハードディスクの3つ目のパーティションのデバイスファイル名ということになります。
拡張パーティション
基本パーティションのうち、ひとつを拡張パーティションにすることができます。
拡張パーティションには、ファイルシステムを構築するのではなく、下記の論理パーティションを作成します。
論理パーティション
拡張パーティション内に作成されるパーティションです。
拡張パーティション内に最大12個の論理パーティションを作成することができます。
4つの基本パーティションでは分割が不足する場合があります。
よって、拡張パーティションの中に論理パーティションを作成して、より細かくパーティションを仕切ることができるようになっています。
パーティションの分割方式
上記の分割方式は、MBRと呼ばれる、古くからあるものです。
今ではGPTと呼ばれる、新しい分割方式が登場しています。
MBR | GPT | |
---|---|---|
基本パーティション数 | 最大4 | 最大128 |
最大HDD容量 | 2TB | 8ZB (1ZB = 1,000,000,000TB) |
ファームウェア | BIOS | UEFI |
レジスタ | 32bit、64bit | 64bit |
GPTにおいては、最大128の基本パーティションを作成できますので、拡張パーティションや論理パーティションというものを考える必要がありません。
まとめ
今回は、パーティションについて解説しました。
パーティションは、ハードディスクの論理的な仕切りです。
Linuxでハードディスクを使用するためには、まずこのパーティションの作成が必要になります。
パーティションの具体的な作成方法については、今後別記事で解説します。
最後に確認問題で今回学習した内容を確かめてください。
確認問題
パーティションの分割方式であるGPTについて、正しくないものはどれか。
A) 最大128の基本パーティションを作成することができる。
B) ファームウェアはBIOSである。
C) 最大HDD容量は8ZBである。
D) レジスタは64bitである。